東京都は6月8日、「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」において、フェイガーによる都内農地由来のJ-クレジットの発行が完了したと発表した。適用方法論はAG-004(バイオ炭の農地施用)で、今回の認証量は都内農地分で約2.6トン(2,617キログラム-CO2相当)となる。
同事業は、農林水産分野でのCO2の吸収・除去に関する技術を持つスタートアップを公募・選定し、都内でのCDRクレジット創出に向けた実証を支援するもので、フェイガーは2024年度に採択された。
フェイガーは、バイオ炭の農地施用による効果の定量化と、機能性追加による生産性向上の実証に取り組んでいる。都内農家と連携し、町田市で玉ねぎ、八王子市で小松菜や赤カブ等の栽培実証試験を実施した。実証は2025年12月に終了し、連携した都内農家とは今後もカーボンクレジット創出のモデル構築に向けた取り組みを継続する。
東京都は本事業を通じ、実証経費の負担と事業プロモーターによる伴走支援を提供している。
フェイガーは今後、東京都の「プログラム型プロジェクトを活用したカーボンクレジット創出支援事業」において都内の参加農地を拡大し、2033年末までに約2万トンのカーボンクレジット創出を見込む。
同支援事業は、経済団体や金融機関等と連携してJ-クレジット制度のプログラム型プロジェクトを運営し、都内中小企業等の削減・吸収活動のカーボンクレジット化に取り組む事業者を成果連動型の協定金で支援する枠組みである。
本件は、都市農地由来の除去系カーボンクレジット創出と自治体主導の創出支援モデルの双方における先行事例であり、象徴的な取り組みと評価できる。
自治体が実証経費の負担と伴走支援を組み合わせてスタートアップのカーボンクレジット創出を後押しし、その後のプログラム型プロジェクトへ接続する一連の枠組みは、制度設計として一定の完成度を持つ。都市部の小規模農地という、従来カーボンクレジット化の対象になりにくかった資源を組み込んだ点にも構造的意義がある。
ただし、今回の認証量は約2.6トンにとどまり、スケーラビリティが今後の課題となる。
小口の吸収・除去活動を束ねるプログラム型プロジェクトを通じた参加農地の拡大ペースが、2033年末の約2万トンという目標の達成可否を左右する。
参考:https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/06/2026060802