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Verra、VCSプログラム第5版を完全運用化 テンプレート公開で2027年移行が本格始動

2026.06.10 読了 約5分
Verra、VCSプログラム第5版を完全運用化 テンプレート公開で2027年移行が本格始動
出典:イメージ

ボランタリーカーボンクレジット認証最大手のベラ(Verra)は、Verified Carbon Standard(VCS)プログラム第5版(バージョン5)について、プロジェクト記述・モニタリング報告・妥当性確認/検証報告の各テンプレートと関連ガイダンス文書の更新版を公開した。これによりバージョン5は完全に運用可能となり、すべてのプロジェクト事業者が即座に適用を開始できる状態となった。

バージョン5は2025年12月にローンチされた基準改訂であり、今回のテンプレート公開はその実装基盤を整える位置づけにある。世界のボランタリーカーボンクレジット市場で最大のシェアを持つVCSの基準改訂であり、市場全体の運用ルールに直接波及する。

社会・環境セーフガードの強化

今回の公開には、ステークホルダーエンゲージメント計画の報告用、およびESGリスク評価・モニタリングの文書化用の独立した新規テンプレートが含まれる。あわせて「事業実施権、持続可能な開発、ステークホルダーエンゲージメント、セーフガード」に関するガイダンス文書(v5.0)、地理位置情報ファイルの作成要件を定めた文書(v5.0)が公開された。

バージョン5は、先住民族と地域コミュニティに対する保護を強化し、FPIC(自由意思による事前の十分な情報に基づく同意)プロセスを刷新した点を中核に据える。さらに事業実施権の明確化と財務透明性に関する新ルールを導入し、便益配分の透明性を担保する設計となっている。ベラはこれらを市場最高水準の社会・環境セーフガードと位置づけている。

ベースライン見直しサイクルも短縮され、最新の科学的・技術的知見にカーボンクレジットの算定基準を整合させる狙いがある。

関連記事:Verra、初の「CCPラベル」付き森林管理カーボンクレジットを発行 動的ベースライン採用の新手法で信頼性向上

CCS・地中貯留・海洋系の正式取り込み

バージョン5は、対象セクターの範囲を拡張し、CCS、地質学的炭素貯留(GCS)、海洋資源を正式に包含した。自然由来プロジェクト中心であった従来のVCSが、技術由来の除去・貯留系を体系的に取り込む構造変化を意味する。

VCSはこれまでも個別にCCS方法論を整備してきたが、バージョン5ではこれを基準本体のセクター区分に組み込んだ。除去系カーボンクレジットの供給拡大を見据えた制度設計といえる。

5.0A/5.0B二本立てと2027年移行スケジュール

ベラは各テンプレートについて5.0Aと5.0Bの2バージョンを用意した。事業者と妥当性確認/検証機関(VVB)は、自らのプロジェクトに適用されるバージョン5更新の発効日に応じて使い分ける必要がある。

5.0Aテンプレートは、プロジェクト開始日が2027年1月1日より前のプロジェクトが使用する。これらのプロジェクトには、事業実施権、ステークホルダーエンゲージメント要件、セーフガード要件、生態系転換セーフガード、便益配分の財務透明性といった更新要件がまだ適用されないため、VCS Standard v4.7の一部要件を引き続き報告できる構成となっている。ただし、これらのプロジェクトも将来のマイルストーンで5.0Bテンプレートへ移行する必要がある。

5.0Bテンプレートは、プロジェクト開始日が2027年1月1日以降のプロジェクトが使用し、v5.0のすべての要件を報告する。

2027年1月1日以降にベラへ提出されるすべてのプロジェクト申請には更新版テンプレートの使用が義務付けられる。すでに監査が進行中のプロジェクトであっても、初回登録申請、検証承認申請、クレジット発行期間更新申請が同日以降に提出される見込みであれば、事業者とVVBの双方が新テンプレートへ移行しなければならない。

ベラは2026年内にバージョン5更新全般に関するトレーニングセッションを開催する予定で、テンプレートのデジタル化も進行中としている。デジタルテンプレートの義務化時期は、移行期間とともに別途告知される。

編集部の視点

今回の公開は、バージョン5を文書上の枠組みから実際に機能する運用システムへ移行させる節目である。市場最大シェアを持つVCSがFPIC刷新・財務透明性・セーフガード強化を制度本体に組み込んだことは、グレッグウォッシング批判への対応を超えて、ボランタリーカーボンクレジット市場のインテグリティ基準そのものを引き上げる効果を持つ。CCS・地中貯留・海洋系の正式取り込みも、除去系カーボンクレジットの供給構造を中長期的に左右する論点となる。

もっとも、今回公開されたのはテンプレートとガイダンスであり、改訂内容自体は2025年12月時点で確定済みである。実務上の意味は、5.0A/5.0Bの二本立てと2027年1月1日の移行期限が事業者とVVBの双方に具体的な作業負荷として顕在化する点にある。進行中の監査案件でも申請時期次第で新テンプレートへの移行が求められるため、移行スケジュールの管理が当面の実務的焦点となる。

参考:https://verra.org/verra-operationalizes-vcs-version-5-with-publication-of-templates-and-guidance/

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。