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マツダ、車載CO2回収システムの一貫実証に成功 回収量は前回比9.6倍の804グラム

2026.06.10 読了 約3分
マツダ、車載CO2回収システムの一貫実証に成功 回収量は前回比9.6倍の804グラム
出典:<a href="https://newsroom.mazda.com/en/publicity/release/2026/202606/260608a.html" target="_blank">マツダ</a>

マツダ(Mazda Motor Corporation)は2026年6月5日から7日にかけて開催されたスーパー耐久シリーズ2026第3戦(富士24時間レース)において、開発中の車載CO2回収システム「Mazda Mobile Carbon Capture」の実証実験を実施した。今回の試験では、CO2の吸着・脱着・貯留を一貫して行う全工程の実証に初めて成功し、24時間レースを通じた回収量は804グラムに達した。これは2025年11月の前回実証(84グラム)の約9.6倍にあたる。

技術構成と実証内容

実証車両はカーボンニュートラル燃料である水素化植物油(HVO)で駆動するレース車両「MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept」(55号車)。吸着材にはゼオライトを採用しており、多孔質構造がCO2を吸着し、走行中に発生する排熱を利用してCO2を脱着、電動コンプレッサーで圧縮・車載タンクへ貯留するという一連のプロセスを実現した。

前回2025年11月の第1回実証では吸着機能のみを検証していたが、今回は脱着ユニットと貯留タンクを新たに搭載し、システムとしての完結性を初めて確認した。

HVOによる排出削減と車載回収量を合算した効果が、量産乗用車向けに想定する目標回収水準を一時的に超過したことも確認され、カーボンネガティブ(用語集:カーボンネガティブ)運転の実現可能性が示された。

2035年量産化に向けたロードマップ

マツダは2025年のJAPAN MOBILITY SHOW 2025で本システムを発表し、「走るほどCO2を削減するモビリティ」の2035年実現を目標として掲げている。今回の結果を受け、同社は2026年11月開催予定のスーパー耐久シリーズ第7戦において、より高負荷・過酷な条件下でのレース車両における短期的なカーボンネガティブ達成を次の目標として設定した。

一方で、804グラムという回収量は量産車が走行中に排出するCO2量と比較すれば数桁の開きがあり、商業的に意義ある規模への拡張には吸着材容量、脱着効率、車両重量・コストのトレードオフという本質的課題が残る。レース環境という高負荷条件での実証であることも、量産車への直接の技術転用可能性を判断する上で留意が必要だ。

移動発生源からの排出回収という新しいアプローチ

本技術が示す概念的意義は、固定発生源を前提としてきた炭素回収の枠組みを移動発生源へと拡張する点にある。工場や発電所を対象とした炭素回収・貯留(CCS)とは異なり、走行する車両自体がCO2を回収・貯留する構成は、輸送セクターの脱炭素に向けた技術多様化の一形態として注目に値する。

貯留されたCO2の回収・処理・最終固定という下流側のインフラが未整備である点は、技術の社会実装において別途解決が必要な課題だ。この点において、現時点では大気中からCO2を恒久的に除去するCDR系カーボンクレジットとは独立した文脈で評価される。

編集部の視点

今回の実証は、移動発生源からの排出回収という概念の技術的実現可能性を示した点で、輸送セクターの脱炭素手法の選択肢を広げるものとして評価できる。ただし、量産化の実現性・経済合理性・貯留CO2の処理インフラという三つの障壁が実用化の鍵を握っており、2035年目標の達成可否はこれらの解決速度に左右される。

参考:https://newsroom.mazda.com/en/publicity/release/2026/202606/260608a.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。