アメリカのカーボンクレジット基準策定機関であるクライメート・アクション・リザーブ(Climate Action Reserve, CAR)は6月9日、永続性に関する基準の改訂アプローチをパブリックコメントに付した。永続性リスクを伴う方法論を対象に、標準コミットメント期間を40年と定め、期間経過後のリバーサルリスク管理の枠組みを併せて提示した。
パブリックコメント期間は6月22日まで設定されている。本改訂は、CARが2025年9月に立ち上げた作業プログラムの成果である。
改訂アプローチの中核は、40年の標準コミットメント期間の設定にある。プロジェクトはこの期間を通じて炭素ストックのモニタリングとリバーサル発生時の補償責任を負い、バッファープールへの拠出も継続する。
ただし保険等の代替手段を用いることで、バッファープールへの拠出を縮減できる余地が新たに設けられた。
40年の期間経過後については、長期保全地役権、リバーサルリスクが無視できる場合のカーボンクレジット消却、パーマネンストラストという3つの管理経路が用意される。CARはレジストリ上に、各プロジェクトのコミットメント期間の長さと終了日、モニタリングと補償の方法、期間経過後のリスク管理の有無と手法を明示するとしている。
本改訂が示すのは、永続性を無期限の固定としてではなく、定義された期間にわたる管理可能な責任として捉え直す方向性である。蓄積型のプロジェクトでは炭素の物理的滞留が数百年規模で問われる一方、期間設定や逆転責任の所在は制度ごとに揺れてきた。40年という明示的な地平は、この不確実性を契約可能な形式へと置き換える。
一方で、40年という期間が物理的な炭素固定の時間軸と必ずしも一致しない点は、除去系の品質評価において論点となる。
CARが標準期間を40年と明示することは、永続性の扱いがレジストリごとに分かれてきた状況に対し、一つの参照点を提示する動きである。買い手にとって比較可能性が高まれば、長期投資の判断を妨げてきた不確実性の一部は緩和される。
本件は、ICVCMが進める柔軟かつ高信頼性の永続性アプローチを試行する路線とも軌を一にする。標準期間の明示は、永続性の保証手段を保険やトラストといった金融的手法へと接続する余地も広げる。
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本改訂は、永続性を「無期限の理想」から「定義された期間における管理可能な責任」へと再構成する点で、ボランタリーカーボンクレジット市場の構造的な転換点となりうる。同時にこれは、ICVCMが主導してきた柔軟な永続性アプローチの制度的な帰結であり、突発的な路線転換ではなく既存潮流の収斂と読むのが妥当である。
その構造的な意味は、40年という標準が市場全体の参照点となるかどうかに左右される。CARの枠組みが他レジストリにとっての事実上のベンチマークとなれば、永続性をめぐる定義の分断は収束に向かう。逆に各制度が独自基準を温存すれば、標準化はかえって乖離の固定化を招く。
参考:https://climateactionreserve.org/blog/2026/06/09/revised-permanence-approach/