ストラテジック・バイオフューエルズ(Strategic Biofuels)が、米ルイジアナ州保全エネルギー局(C&E)からClass VI 貯留井許可を取得した。同社の主力案件ルイジアナ・グリーン・フューエルズ(LGF)の中核をなすCCS部分が、着工に向けて前進する。
LGFはバイオマス発電にCCSを組み合わせたBECCS案件であり、年間100万トン超の除去系カーボンクレジットの創出を見込む。今回の許可取得は、地中貯留型の耐久性の高いCDRが商業段階へ進む一里塚となる。
許可は、州が米EPAから規制権限の移譲を受けて以降の第3号にあたり、複数の注入井を備えた単一案件としては州内で初めてとなる。取得までに5年超の開発と1万6,000ページに及ぶ申請を要した。
LGFはコールドウェル郡に建設される100MWの木質バイオマス発電所に、フルスケールのCCSを統合する。年間約130万トンの林業残材と製材廃材を燃料に、75MWの炭素中立電力を地域系統へ供給する。
設計上の特徴は、発電・回収・貯留を単一サイトに集約した点にある。回収したCO2は地下約1.6kmの貯留層へ3本の注入井で圧入され、長距離のCO2パイプラインを必要としない。
長距離パイプライン網は大規模CCSの普及を阻む摩擦要因とされてきた。本件はこれを設計段階で回避する。
SLBと設計した貯留複合体は、Phase I の必要量の3倍超の容量を持ち、将来の拡張余地を確保する。エンジニアリングはキーウィット(Kiewit)、自動化はエマソン(Emerson)が支援し、稼働開始は2028年を予定する。
LGFは稼働後、年間100万トン超の除去系カーボンクレジットを創出する見込みだ。地下の塩水層への半永久的な貯留により、森林系などに比べて高い永続性を備える。
販売はカーボン・ダイレクト(Carbon Direct)との独占提携を通じて行う。同社の高品質CDR基準を満たすクレジットとして、Fortune 500企業や機関投資家層へ供給される。
精緻な品質審査を前提に大口の事業会社・金融機関が買い手として想定される構図は、地中貯留型CDRのバンカビリティを裏づける。
一方で、BECCSの炭素除去としての正味効果は、バイオマス調達の持続可能性や供給網全体の排出をどう算定するかに左右されるとの指摘もある。
LGFの意義は、地中貯留型の除去系CDRが商業供給の段階に入りつつあることを具体的に示した点にある。年間100万トン規模の供給を、大口需要家との独占提携を伴って事業化した事例として位置づけられる。
ただし価値の核心は許可取得そのものではなく、2028年の稼働後に審査基準を満たす耐久性クレジットを安定供給できるかにある。地中貯留型CDRが市場として根づくかは、この実供給の段階に懸かる。
参考:https://strategicbiofuels.com/news/strategic-biofuels-secures-draft-class-vi-well-permit/