オランダのスタートアップ、ペーブル(Paebbl)は、カーボンネガティブをうたう建材Rebond 300をこのほど発表した。EPD検証済みのカーボンフットプリントは-149kg CO2/トンで、生産工程全体で排出するCO2より多くのCO2を大気から除去するとしている。回収したCO2を鉱物に変換し、コンクリート構造体に固定する混和材(SCM)である。
Rebond 300はセメントの一部を置き換える混和材であり、標準的な置換率でコンクリートレベル最大40%のエンボディドカーボン削減を実現するとしている。セメントの最大30%を、構造性能を損なわずに置換できる。第一世代製品と比べ、正味の炭素性能は10倍に改善したという。
ペーブルはこれまでにRebond 200および300を、CEM IからCEM III/Bまでの規格を置き換える形でセメントとコンクリート構造に組み込んできた。白に近い細粒仕上げにより、打ち放しコンクリートやファサードなど意匠用途への展開も可能とする。
製品の核心は、回収したCO2を安定した鉱物として建材内部に固定する点にある。ペーブルは独自の加速鉱化技術geomimicryにより、CO2を淡灰色の鉱物粉末へ変換する。この鉱物は地質学的な時間スケールにわたり固定され続けるとしている。
森林や土壌を用いた自然由来の炭素固定が抱える永続性の制約やリバーサルリスクと異なり、建材への鉱物固定は構造体が存続する限り炭素を保持する。ペーブルは、Rebond 300を組み込んだあらゆる構造物が永久的なカーボンシンクとなり、材料の物理化学そのものを通じてScope3目標に寄与すると説明する。
ペーブルは、Rebond 300による固定が検証済みの除去系カーボンクレジットとして発行可能であり、ネットゼロ戦略の一環として科学的根拠に基づく除去を購入したい組織に提供できるとしている。同社は、この炭素固定が会計上の調整ではなく材料の物理化学を通じてScope3に寄与する点を強調する。
ただし、同一の物理的除去をScope3削減と除去系カーボンクレジットの双方に計上する場合、二重計上の論点が生じる。建材に固定された炭素を、購入者のScope3と除去系カーボンクレジットの買い手のいずれに帰属させるのかは、方法論上の整理を要する。
ペーブルは現在、CO2貯留型データセンターや公共インフラ、沿岸保護、住宅・商業建築への組み込みなど、複数の協業を企業と協議している段階にある。同社は、建材を通じたギガトン規模の炭素除去が可能になると展望する。一方で現段階は参照案件の構築フェーズにとどまり、量産規模での実装はこれから積み上がる。
本件は鉱化系CDRの製品化が一歩進んだ事例として位置づけられる。建材への鉱物固定は、モニタリングやリバーサルのリスクを抱える自然由来の固定と比べ、永続性の面で技術由来CDRの強みを体現している。
除去系カーボンクレジットとしての価値は、固定炭素をScope3削減とカーボンクレジットのいずれに帰属させるかという計上の整理が左右する。物理的な永続性が高くとも、帰属が二重になれば市場での評価は定まらない。
参考:https://paebbl.com/news-feed/paebbl-rebond-300-carbon-negative-building-materials