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Mangrove System、Grain Ecosystem買収でバイオ炭CDR市場のdMRV基盤を統合

2026.04.25 読了 約4分
Mangrove System、Grain Ecosystem買収でバイオ炭CDR市場のdMRV基盤を統合
出典:イメージ

カナダ・トロントを拠点とするマングローブ・システムズ(Mangrove Systems)は2026年4月16日、北米のバイオ炭プロジェクト開発プラットフォームであるグレイン・エコシステム(Grain Ecosystem)から事業資産の一部を取得したと発表した。

本買収により、グレインが抱えるバイオ炭事業者の顧客基盤がマングローブのコンプライアンス/測定・報告・検証(MRV)プラットフォームへ統合される。取引金額は非開示である。

買収後、両社の顧客基盤を合算したマングローブのプラットフォームは、現時点で稼働中の世界バイオ炭市場のうち相当規模のシェアを占めることになる。

バイオ炭は炭素除去(CDR)領域でも急成長セグメントの一つに位置付けられており、デジタル測定・報告・検証(dMRV)を軸とした業界の統合と高度化が一段進む格好となった。

北米バイオ炭市場を支えてきたグレインの位置付け

グレイン・エコシステムは2022年に設立され、シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)傘下のベンチャーファンドであるSEベンチャーズ(SE Ventures)から初期出資を受けたテクノロジー企業である。廃棄物の有価化(waste-to-value)インフラを通じた気候対策の加速をミッションに掲げ、プロジェクト開発、炭素コンプライアンス、運用管理を支援するソフトウェアとワークフローを提供してきた。

同社は事業者向けプラットフォームを通じて、北米におけるバイオ炭市場の形成に基盤的な役割を果たしてきた経緯がある。グレインの既存顧客アカウントは、マングローブの既存バイオ炭顧客基盤に統合され、自動データ取り込み、AIによる炭素会計の補助、エンドツーエンドの監査対応報告、主要なコンプライアンスおよびボランタリープログラムに準拠した認証取得支援といった機能群へアクセス可能となる。

CDR市場で進むdMRVプラットフォームの集約

マングローブ・システムズはCDR、炭素回収・貯留(CCS)プロジェクト、低炭素燃料を対象としたdMRVソリューションを提供しており、プロジェクトを流れるCO2の分子単位での追跡と、商業化およびコンプライアンス対応のための完全な監査可能性を訴求してきた。同社は既に世界の大規模炭素プロジェクトの多くにdMRV基盤を提供している。

今回の買収は、企業需要が高品質なバイオ炭由来カーボンクレジットへ集中する中で、dMRVを軸としたプラットフォーム集約が市場の標準化を後押しするという潮流を象徴している。

バイオ炭は除去系カーボンクレジットの中でも比較的低コストかつ早期実装可能な手段として注目されており、レジストリ(登録簿)の厳格化に対応するためのデジタル基盤が事業者の競争力を左右する局面に入っている。

経営陣のコメント

グレイン・エコシステム共同創業者兼CEOのライアン・J・ルトゥルノー(Ryan J. Letourneau)は、「グレインはバイオ炭セクターで強固なプラットフォームと市場プレゼンスを構築してきた。マングローブはその取り組みを引き継ぐ上で適任であり、今回の取引は顧客に継続性をもたらすとともに、グレインが構築してきたものとマングローブの長期的なプラットフォーム戦略の高い適合性を反映している」と述べた。

マングローブ・システムズのバイオ炭事業ジェネラルマネージャーであるアニー・ニコルズ(Annie Nichols)は、「バイオ炭は炭素除去市場の中で最も有望かつ急成長しているセグメントの一つであり、本買収は当社のコミットメントをさらに深めるものだ。グレインの事業者を当社プラットフォームに迎え、収益とインパクトをスケールさせるためのMRVインフラを提供できることを誇りに思う」とコメントしている。

バイオ炭は除去系カーボンクレジットの中で、永続性と追加性の両立およびコベネフィット(土壌改良・廃棄物有価化)の観点から評価が高まっている領域である。一方で、ボランタリーカーボンクレジット市場全体の信頼性が問われる中、dMRVを軸としたデータの完全性と監査可能性こそが、買い手企業の調達基準を満たす上での実質的な差別化要因となりつつある。

今回のような事業者基盤×検証基盤の統合は、市場の質的高度化を加速する一方、調達側にとってはプラットフォーム選択がそのままサプライヤーリスク管理の論点となることを意味する。

日本企業がバイオ炭由来クレジットの調達を検討する際にも、発行レジストリだけでなく、その背後にあるMRV基盤のデジタル成熟度を評価軸に据える必要性が高まっている。

参考:https://www.mangrovesystems.com/press/mangrove-acquires-grain-ecosystem

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。