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ERW国際研究網ベッドロック始動、規制市場参入と標準化MRV構築を視野

2026.05.16 読了 約4分
ERW国際研究網ベッドロック始動、規制市場参入と標準化MRV構築を視野
出典:イメージ

カスケード・クライメート(Cascade Climate)は5月14日、岩石風化促進(ERW)の科学的根拠を国際協調で構築する研究プログラム「ベッドロック・イニシアチブ(Bedrock Initiative)」の始動を発表した。フロンティア(Frontier)、グーグル(Google)、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ(Chan Zuckerberg Initiative)、グランサム財団、キング・フィランソロピーズ、キシック・ファミリー財団、パトリック・J・マクガバン財団の計7機関が創設資金を拠出する。

ねらいは、ERWをコンプライアンスカーボンクレジット市場および政府の農業プログラムに組み込むために必要な、農学的かつCDRとしての科学的エビデンスを集中的に積み上げることにある。これまでERWはボランタリーカーボンクレジット市場で一定の存在感を示してきたが、規制市場への参入には標準化された計測根拠と、気候・土壌条件ごとの再現性ある効果実証が不可欠であった。

標準化計測を担う圃場ネットワーク

ベッドロックは複数の気候帯・土壌プロファイルにまたがる圃場サイトを協調的にネットワーク化し、標準化された複数年計測を実施する。方法論や鉱物種類ごとに分散したまま個別研究が進んできた現状を統合的に整理し、規模化のための再現性あるデータ基盤を整える狙いがある。

カスケード・クライメートは公式発表で、ERWが政策当局・市場・農業コミュニティの信頼を獲得するためには、気候が要請するスピードでエビデンスのギャップを埋める必要があるとの認識を示した。

モデルベースMRVへの軸足移行

スケーリングの最大の障壁は依然としてMRVコストである。ベッドロックは地球化学モデリング分野の第一線研究者を集めた「モデリング・アクセラレーション」の取り組みを通じて、検証済みのモデルベース計測手法の確立を急ぐ。圃場ごとの直接計測に依存する現行の高コスト構造を抜本的に組み替える狙いだ。

もっとも、モデル依存度を高めることは計測の不確実性や検証可能性の低下を招くとの議論があり、品質と規模化コストの均衡をどこに置くかは引き続き論点として残る。

グローバルサウス重点と農学的便益

研究網はグローバルサウスの圃場立地を重視し、複数試験区での収量試験を大規模に実施する方針である。ERWは大気からのCO2除去機能に加えて、土壌pHの改善や養分循環の促進を通じて農業生産性に寄与する性質を持つ。気候と農業の両面で便益を実証することは、政府プログラムへの組み込みにとって不可欠な根拠となる。

3層ガバナンス体制

ベッドロックは戦略立案と投資意思決定を担うステアリングコミッティ、科学的監督を担う科学諮問委員会、現場調整・実験設計・データ分析を担うワーキンググループの3層構造で運営される。創設機関群は今後さらなる資金協力者を呼び込み、プログラムを段階的に拡張する計画である。

ベッドロック・イニシアチブの意義は、ERWを「有望なCDR技術」から「規制市場と政府プログラムが扱える資産」へと格上げするための科学的足場づくりにある。コンプライアンス市場参入に必要なのは技術成熟そのものではなく、規制当局と市場参加者が共通言語で評価できる標準化された計測根拠である。本イニシアチブは正面からこの課題に取り組む構図にある。

技術的中核は、標準化された圃場計測網とモデルベースMRVの両輪である。前者が方法論や地理条件をまたぐ再現性のあるエビデンスを供給し、後者がスケーリングのコスト障壁を引き下げる。両者が結合してはじめてERWは数億トン規模のCDR選択肢として現実味を帯び、フロンティアやグーグルといった主要バイヤーが慈善資金として研究投資に踏み込む構造的合理性もここに収斂する。

参考:https://cascadeclimate.org/bedrock-initiative

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。