サミット・カーボン・ソリューションズ(Summit Carbon Solutions)は2026 年 5 月 13 日、米国中西部で計画する大型CO2パイプライン網について、回収CO2をネブラスカ州経由でワイオミング州に貯留する西方ルートを中核とする経路改訂を発表した。
これにより、当初計画でCO2輸送経路に含まれていたサウスダコタ州は現フェーズの能動的経路から実質的に除外された。当初貯留先と位置付けられていたノースダコタ州に代わり、ワイオミング州が新たな主要貯留地となる。
サウスダコタ州除外の直接要因は、同州が2025 年に成立させたCO2パイプラインへの収用権(eminent domain)行使を禁止する州法である。地主層の反対運動が立法による事業遮断に結実した結果として、サミット社は経路設計の見直しを迫られた。
経路改訂はアイオワ州公益事業委員会への提出書類として正式化された。パイプライン総延長は約 200 マイル(約 322 キロメートル)短縮された。
アイオワ州内ではシェルビー、ポタワタミー、モントゴメリー、アダムス、ペイジ、フリーモント、ミッチェル、ワースの8郡が対象から外れ、影響を受ける地主は 400 名超減少した。クロフォード、フロイド、スー、ディッキンソンの4郡でも経路の短縮が行われている。
接続するエタノール工場では、アブソリュート・エナジー、ポエット(POET)社のコーニング工場とハンロンタウン工場、グリーン・プレインズ(Green Plains)社のシェナンドア工場の4施設が除外された。アイオワ州内に残る接続エタノール工場は 27 施設である。
サミット社は改訂後の経路について、ワイオミング州での専用貯留を中核としつつ、強化石油回収(EOR)等のCO2利用機会も並行評価するとしている。エタノール生産者の持続可能な航空燃料(SAF)市場参入を支える基幹インフラとしての位置付けも維持される。
サウスダコタ州での反対運動は、地主・地域活動家を中心に、財産権を理由とした収用権行使への強い抵抗として展開された。これが2025 年の州法成立に結実し、CO2パイプラインを目的とした収用権行使は州内で全面禁止された。サミット社は州パーミット取得も困難となり、本件改訂はその直接的な帰結である。
サミット社のジョー・グリフィン(Joe Griffin)氏は声明で、改訂後の経路を「経済的に前進可能な中核インフラに集中する判断」と位置付けた。同社はサウスダコタ州・ノースダコタ州・ミネソタ州の既存パーミット・地役権・インフラ協定が「将来フェーズの選択肢として価値を持ち続ける」とも付言しており、各州での事業継続意思自体は撤回していない。
もっとも、本件改訂が恒久的な事業撤退か一時的な経路調整かについては議論があり、サミット社が将来フェーズで該当州への再展開を模索する余地は引き続き論点として残る。
本件で本質的に問われているのは、経済性や技術ではなく、地域の財産権法制がCCSインフラの物理的経路を書き換えた点である。
米国のCCS案件は45Q税額控除という強力な経済支柱を有し、エタノール工場由来の高純度CO2回収という技術的に成熟したケースに属する。それにもかかわらず、地主の同意を強制できない法制下では、計画地図そのものを描き直すしかなかった。米国CCSインフラの律速要因は、技術成熟度や税制インセンティブから、社会的受容性と財産権法制へと事実上移行した。
参考:https://www.summitcarbonsolutions.com/newsroom/may-13-update