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大林組、J-クレジット付き燃料で建設現場のCO2をカーボンオフセット

2026.04.30 読了 約4分
大林組、J-クレジット付き燃料で建設現場のCO2をカーボンオフセット
出典:株式会社大林組

株式会社大林組(以下、大林組)は、出光興産株式会社(以下、出光興産)と連携し、環境省が指針を提供する「カーボン・オフセット第三者認証プログラム」に基づく認証を取得した。

建設現場で使用する軽油の一部を、J-クレジットが付与された出光興産の燃料油「出光カーボンオフセットfuel J(ICOFJ)」に置き換えることで、燃料使用に伴うCO2排出量をカーボンオフセットした取り組みが認証対象となった。大林組の認証番号は「CO2-1016」である。

建設機械のScope1排出にカーボンクレジットで対応

建設業界では、建設機械や輸送車両の稼働により大量の軽油が消費され、これに伴うCO2排出はScope1(自社の直接排出)に分類される。大林組はこれまで、燃料使用量の削減、作業効率の向上、低炭素燃料への置き換えなどを通じてScope1排出の削減に取り組んできた。しかし、建設現場で使用する全ての燃料を直ちに低炭素燃料に置き換えることは技術的にも経済的にも容易ではなく、削減の取り組みを進めるなかでも対応が難しい残余排出が発生する。

こうしたハード・トゥ・アベイトな排出領域に対し、両社は出光興産が建設業界をはじめカーボンニュートラル対応を進める企業向けに供給するICOFJを活用するアプローチを採用した。ICOFJは、J-クレジット制度に基づき認証されたカーボンクレジットが付与された高付加価値燃料油であり、利用企業は通常の軽油と同様の運用で給油・消費しながら、付与されたカーボンクレジットの削減・吸収効果によって燃料使用に伴うCO2排出量をオフセットできる仕組みである。

J-クレジットは、再生可能エネルギー導入や森林保全など国内プロジェクトから創出されるカーボンクレジットであり、地域経済や環境保全への貢献というコベネフィットを伴う点も特徴となっている。

次世代バイオ燃料実証から発展した両社の脱炭素連携

大林組と出光興産は2024年から、廃食油や植物油などの油脂系原料を水素化処理して製造する次世代バイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル(IRD)」の実証で連携してきた。IRDは軽油と比較してCO2排出量が実質ゼロとみなされるカーボンニュートラル燃料と位置付けられており、今回のICOFJ活用はこの燃料分野における連携をさらに発展させる位置付けとなる。

両社は今後、建設機械の稼働量に応じた燃料配送の最適化や、燃料使用量およびCO2排出量の可視化など、建設現場で実装可能な手法でのCO2排出削減を継続するとしている。

カーボン・オフセット第三者認証プログラムの位置付け

カーボン・オフセット第三者認証プログラムは、環境省が指針を提供しカーボン・オフセット協会が管理する制度で、企業や団体が削減困難な温室効果ガス(GHG)排出をカーボンクレジットなどで埋め合わせた取り組みを、登録された認証機関が認証する仕組みである。日本国内でカーボンオフセットの透明性と信頼性を担保するインフラとして機能しており、近年はGX-ETSの本格運用を見据えて、企業がオフセット主張の根拠を整えるニーズが高まっている。

建設、運輸、農業など軽油や重油への依存度が高いハード・トゥ・アベイトセクターでは、設備更新サイクルの長さや代替燃料の供給制約から、Scope1の絶対削減には相応の時間を要する。今回の事例は、自社削減努力を前提に、燃料サプライヤーと一体でJ-クレジット付き燃料を活用することで現場運用を変えずにオフセット措置を講じる「燃料+カーボンクレジット」のバンドル型モデルを示した点に、業界横展開の含意がある。

ただし、オフセット利用にあたっては、付与されているカーボンクレジットが回避系か削減系か除去系か、追加性や永続性、コベネフィットがどの程度担保されているかの精査が今後ますます問われる。SBTiの新たな企業ネットゼロ基準やGX-ETSの第2フェーズを見据えれば、削減ヒエラルキーを明示し、開示の透明性を確保することが、グリーンウォッシングリスクの回避と取り組みの信頼性確保の双方で不可欠となる。

日本企業にとっては、自社のScope1削減ロードマップ上でカーボンオフセットをどう位置付けるか、原則の整理が問われる局面である。

参考:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20260423_2.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。