ルイジアナ州保全・エネルギー局が第三号の草案クラスVI井許可証を発行、複数の圧入井を含む案件は州内初
米国ルイジアナ州を拠点とする再生可能エネルギー開発会社、ストラテジック・バイオフューエルズ(Strategic Biofuels)は2026年3月4日、同社のルイジアナ・グリーン・フューエルズ(Louisiana Green Fuels、以下LGF)プロジェクトの炭素回収・貯留(CCS)コンポーネントに対し、ルイジアナ州保全・エネルギー局(Louisiana Department of Conservation and Energy、C&E)から草案クラスVI井許可証(Draft Class VI Well Permit)を受領したと発表した。同州でこの草案許可証が発行されるのは3例目であり、複数の圧入井を含む案件への発行は初となる。
LGFプロジェクトはルイジアナ州北東部カルドウェル郡(Caldwell Parish)に位置し、100MWの木質バイオマス焚き発電所と専用CCS設備を組み合わせた、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)の大規模案件である。
同プロジェクトの技術的特徴は以下の通りだ。
電力・炭素回収・貯留の全工程をサイト内で完結させる垂直統合設計を採用しており、長距離CO2パイプラインを必要としない。地元コミュニティへの経済的恩恵を最大化する狙いがある。
本プロジェクトが炭素市場にとって最も注目される点は、年間100万トンを超えるCDRクレジットの生成にある。
BECCSは大気中のCO2を光合成で固定したバイオマスを燃焼させ、排出されるCO2を地中に貯留するという二段階プロセスにより、大気からの実質的な二酸化炭素除去(炭素除去)を実現する。生成されるカーボンクレジットは回避系・削減系ではなく除去系のCDRクレジットに分類されることから、ネットゼロ戦略において高いプレミアムが付く。
これらのCDRクレジットは、科学的根拠に基づく炭素管理の世界的リーダーであるカーボン・ダイレクト(Carbon Direct)との戦略的パートナーシップを通じて市場に提供される。カーボン・ダイレクトは独自の「高品質炭素除去基準(Criteria for High-Quality Carbon Dioxide Removal)」を設けており、同基準をクリアした案件のカーボンクレジットのみがグローバルな金融機関、多国籍企業、政府機関、学術機関などのバイヤーに提供される。
草案許可証は最低30日間のパブリックコメント期間に入り、C&Eによる公聴会は2026年4月9日に予定されている。同社は公聴会後約90日以内に最終許可証(Permit to Construct)を取得する見通しを示している。
エンジニアリング面では、貯留複合施設のフロントエンド・エンジニアリング設計(FEED)をオイルフィールドサービス大手のエスエルビー(SLB)が担い、発電・炭素回収設備のプレFEEDをキーウィット・エンジニアリング・グループ(Kiewit Engineering Group Inc.)が受け持っている。
なお、LGFプロジェクトは2023年に州の大気許可証(Synthetic Minor Air Permit)を取得済みであり、環境・文化・環境正義の各審査においても不利益影響がないことが確認されている。フェーズIIでは同サイトにバイオ燃料生産施設の建設も計画されている。
BECCSは、GX-ETSや将来的なCBAM対応に向けて高耐久性の除去系カーボンクレジットを求める日本の重工業・素材企業にとって、注目すべきサプライチェーンとなり得る。特に年間100万トン規模の除去系CDRクレジットを単一プロジェクトが継続供給できる点は、J-クレジット制度の枠外で長期調達の多様化を図る購買担当者にとって戦略的選択肢として評価に値する。
カーボン・ダイレクトのデュー・デリジェンス基準がゲートキーパー機能を果たしている点も、品質リスクを懸念するコンプライアンス部門への訴求力を高めよう。