ブルーフォレスト(Blue Forest)は、モザンビークのマングローブ復元事業MozBlueの初年度実績をまとめたインパクトレポートを2025年6月に公表した。2024年11月の植林開始からおよそ半年で、劣化したマングローブ約985ヘクタールを復元し、約896万本を植栽したという。
ブルーフォレストによれば、2025年5月時点の植栽は8,957,071本、復元面積は985ヘクタールに達した。2024年11月に植えた初期分の苗の生存率は75%としている。雇用は2025年に1,250人、受益者は11,496人とする。
同社は2030年までに30,000ヘクタールの復元と約2.4億本の植栽、雇用25,421人を見込む。
現状はこの長期目標の入り口にあたり、復元面積は目標の3%強にとどまる。
カーボンクレジットは、ベラ(Verra)のVCSおよびCCBに基づくブルーカーボンクレジットとして将来生成される建付けである。ブルーフォレストは、30,000ヘクタールの復元により事業期間60年で1,500万トン超のCO2を除去すると見込む。
収益配分は、地域コミュニティ37%、政府32%、ブルーフォレスト31%とし、法的拘束力のある合意のもとで収益のおよそ3分の2を地域コミュニティと政府に振り向けるとする。
投資はこれまでに230万ドル(約3億7,000万円)、2030年の完遂には3,000万ドル(約48億5,000万円)を要するとしている。
ただし、これらの除去量はいずれも事業期間にわたる事前推計であり、第三者検証を経て発行されたカーボンクレジットではない。
パートナー一覧では、住友商事とリムーバル・カーボン(Removall Carbon)が「投資・カーボンクレジット販売」の担い手として挙げられている。
業界分析によれば、両社は合弁を通じて第1期の資金供給とカーボンクレジット販売を担うとされる。第1期は約5,116ヘクタールの復元を対象とし、40年で約250万トンのCO2を除去する見込みとみられる。
認証済みのブルーカーボンクレジットは世界的に供給が限られる。発行前の段階から大型の復元案件に資金を入れ、販売枠を押さえる動きは、買い手が供給源を早期に確保する手段にあたる。
一方で、本件は植林開始から日が浅く発行前の段階にある。復元の進捗や生存率、検証の結果が固まるまで、見込みの除去量がそのままカーボンクレジットの供給量になる保証はない。早期の関与は、供給の優先確保と引き換えにこの履行リスクを抱える。
本件は、日系商社がブルーカーボンの資金供給とカーボンクレジット販売の双方に関与する座組みとして位置づけられる。認証済みのブルーカーボンクレジットが乏しいなか、発行前の案件に踏み込んで販売枠を確保する調達は、供給の細い分野で買い手が取りうる選択肢の一つである。MozBlueの実績は、この調達が見込んだ量と品質のカーボンクレジットを生むかを測る具体例となる。