マティ・カーボン(Mati Carbon)が、アイソメトリック(Isometric)のV1.2 ERWプロトコルに基づき認証された除去系カーボンクレジット492.4トンを引き渡した。同プロトコル下での引き渡しはERWセクターで初となる。
クレジットはインドのセオニおよび北チャッティースガルで展開するプロジェクトに由来し、算定根拠とともにアイソメトリック・レジストリ上で公開されている。
492.4トンのクレジットは、デカン高原産の玄武岩粉末を水田に散布するプロジェクトから創出された。マティ・カーボンは2025年のXPRIZE炭素除去コンペティションでグランプリを獲得しており、以降ERWの実装と方法論構築の双方を進めてきた。
V1.2は開放系の炭素除去を対象とするアイソメトリックの最新MRV基準であり、固相データセットの提出を供給者に課す。実地サンプリングによって鉱物の溶解を実証する必要があり、純粋なモデリングによる代替は認められない。不確実性伝播とクロスバリデーションを求める点で、従来基準より要求水準が高い。
マティ・カーボンは、固相MRVデータの有意性を判定する検証ツール「ERWシグナルチェッカー」を一般公開した。利用者は自社のデータを所定の形式でアップロードし、同社がアイソメトリックへの引き渡しで用いたのと同じ有意性判定を通過するかを確認できる。
同社は、ERWの方法論がセクター全体でなお確立途上にある中、供給者が分析の枠組みを共有することで分野全体の進展が速まるとの考えを示した。
散布された玄武岩は雨水および溶存CO2と反応して安定的な重炭酸イオンを形成し、最終的に海洋へ流入して長期にわたり炭素を固定するとされる。同時に、玄武岩粉末はカルシウムやマグネシウムといった微量栄養素を熱帯土壌に供給し、肥料を購入できない農家の収量と所得を押し上げる。
最厳格基準での認証は、ERW供給者にとって品質シグナルとしての価値を持つ。
ERW市場の競争軸は、モデル依存を許す簡便な定量化と、固相測定を求める厳格な定量化のいずれが調達側の信認を得るかへ移りつつある。マティ・カーボンが検証ツールを公開した狙いは、自社の主張を裏づけるだけでなく、厳格な定量化を事実上の標準へ引き上げ、その土俵で先行する点にあると読める。
スケール経済が成立するかは、この品質水準を保ったまま処理量を拡大できるかに左右される。