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OPECが石油需要ピーク不在を主張、2050年124百万バレル予測でIEAと乖離

2026.06.21 読了 約3分
OPECが石油需要ピーク不在を主張、2050年124百万バレル予測でIEAと乖離
出典:イメージ

OPEC(石油輸出国機構)は6月18日、ウィーンの事務局で年次見通し「World Oil Outlook 2026」を公表し、世界の石油需要が2050年までに日量124百万バレルに達するとの予測を示した。第20版にあたる今回、需要ピークは見通し期間内に到来しないとの立場を改めて打ち出し、前回見通しから上方修正した。世界のエネルギー需要全体も2050年までに23%増加すると見込む。

上方修正を支えた政策環境

OPECは、エネルギー安全保障と価格の安定が各国の優先課題として再浮上し、現実的なエネルギー移行経路の追求が求められていると説明する。あらゆるエネルギー源と技術が将来需要を満たす役割を担うとの主張に立つ。

報道によれば、上方修正の主因は気候目標よりも安全保障を優先する政策転換にある。米国では再生可能エネルギーやEV支援、燃費基準の巻き戻しが進み、液体燃料需要の寿命が延びた。欧州ではEV普及が想定より鈍く、内燃機関向け需要が下支えされている。

需要増の偏在と供給側の制約

OPECの分析では、需要増はインド・中東・アフリカ・中南米といった新興地域に集中し、インド単独で日量8.1百万バレルを押し上げる。中国は再生可能エネルギーの導入を加速させつつも、産業需要が石油消費の急減を抑える。需要を牽引する産業は道路輸送、石油化学、商業航空とされる。

供給側では、米国のシェールオイルが2025年に日量9百万バレル超でピークに達し、OPEC+以外の産油国全体も2030年代前半に頭打ちになるとみる。ハイサム・アル・ガイス(Haitham Al Ghais)事務局長は、この長期需要を満たすには2026年から2050年で累計17.7兆ドル(約2,850兆円)、年間700億ドル超(約11兆円超)の石油投資が必要だと述べた。

IEAとの見通し乖離

OPECの強気の見通しは、西側のエネルギー機関と正面から対立する。IEA(国際エネルギー機関)はこれまで、石油需要が今後10年以内にピークを迎え、中期的には日量113百万バレル程度で頭打ちになると予測してきた。OPECの最新予測はこれを11百万バレル上回る。

同じ将来を描きながら、両者の数字はこれだけ開いている。産油国の利害を映すOPECと、移行加速を前提とするIEAでは出発点が異なるためだ。

編集部の視点

OPECの見通しは産油国の立場を色濃く反映しており、124百万バレルという数字を額面どおりに受け取るのは危うい。需要ピークの否定は、投資を呼び込みたい側の動機と切り離せない。

注視すべきは、数字の高低よりもOPECとIEAの乖離幅そのものである。両者の差は、企業が脱炭素シナリオの前提に何を置くかを左右し、ひいては削減困難部門におけるオフセットや除去系カーボンクレジットの長期需要見通しにも波及する。単一の楽観的な供給側予測を計画の土台に据えるのは、いずれの立場であっても根拠として弱い。

参考:https://www.opec.org/pr-detail/1854607-18-june-2026.html
参考:https://publications.opec.org/woo

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。