ブルーカーボン専用のアクセラレーター、ブルーカタリストファンド(Blue Catalyst Fund)が、初のコホートにガンビアとギニアのマングローブ案件2件を選定した。非営利のフェアカーボン(Fair Carbon)とインパクト投資アドバイザーのファイナンスアース(Finance Earth)が共同で運営し、6月18日に発表した。
2案件の対象面積は合計約51,000ヘクタールに及び、いずれも沿岸生態系の保全・修復を目的とする。
ガンビアでは、ノースバンク生態系修復トラスト(North Bank Ecosystem Restoration Trust)が16,950ヘクタールのマングローブを対象とし、7地区3,000世帯超に裨益する。同トラストの運営主体はグレートグリーンウォールフロントライン(GreatGreenWallFrontline GMB)である。
ギニアでは、ウェストアフリカブルー(West Africa Blue)がギニア政府および地域パートナーと連携し、フォレカリア県とボファ県の34,000ヘクタールを対象とする。40地区27,000人に裨益する見込みである。
技術支援は3社(TerraCarbon、Silvestrum、Nika)が両案件を担う。
ブルーカタリストファンドは、回収型かつマイルストーンに連動した資金を、技術支援および取引アドバイザリーと組み合わせて提供する。フォローオン投資を確保するまで返済を求めない設計とし、初期段階のリスクを吸収する。これにより、長らく同分野を制約してきた初期資金のギャップに対応する。
ファイナンスアースのリチャード・スピーク(Richard Speak)は、初期リスクの吸収、プロジェクトパイプラインの専門化、生態系上の目標と財務規律の整合を同ファンドの役割として挙げた。
ファンドはリボルビング型で、成熟した案件からの回収を次のコホートに再投資する。規模拡大に向けて追加のフィランソロピー資本も募っている。
マングローブは成熟した熱帯林の最大10倍の炭素を貯留しうる。一方でブルーカーボンクレジットはボランタリーカーボンクレジット市場の活動のわずか0.35%にとどまり、マングローブ修復の失敗率は一部地域で80%に達する。
多くの案件は、技術的知見の分散、高コスト、沿岸修復のリスク特性に適合した資金の不足によって、初期段階で停滞してきた。
同ファンドは2035年までに、150,000ヘクタールの保護・修復、3,200万トンのCO2eの回避・除去、2億7,500万ドル(約443億円)の民間投資の動員を目標に掲げる。国連海洋科学の10年のアクションとして承認されている。
フェアカーボンのCEO、ダイアナ・デンケ(Diana Denke)は、ブルーカーボンには有望な案件も投資家も不足していなかったが、両者を確実かつ規模をもって結びつけるインフラが欠けていたと述べた。
ブルーカタリストファンドの資金設計は、初期段階のリスクを吸収する触媒的資本をブルーカーボンに振り向けるものであり、ブレンデッドファイナンスの系譜に位置づけられる。専用アクセラレーターとして一連の支援を体系化した点に新規性はあるものの、資金構造そのものは既存手法の延長線上にある。
本モデルが供給側の資金と専門性を担う一方、ブルーカーボンの制約はむしろ下流の需要側、すなわちカーボンクレジットの品質と価格に置かれている。市場活動の0.35%という水準が示すとおり、案件を投資適格段階まで引き上げても、それを吸収する需要が伴わなければ回収型資金の回転は鈍る。供給側の専門化が需要を喚起しうる品質水準に到達できるかが、本ファンドの実効性を左右する。
参考:https://finance.earth/blue-catalyst-fund/
参考:https://www.faircarbon.org/blue-catalyst-fund
参考:https://www.linkedin.com/posts/financeearth_bcf-bluecarbon-naturefinance-activity-7473275575420481536-XefC