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Jリーグ・WEリーグ初、セレッソ大阪が男女ホームゲーム全試合のカーボンオフセットを達成

2026.04.21 読了 約4分
Jリーグ・WEリーグ初、セレッソ大阪が男女ホームゲーム全試合のカーボンオフセットを達成
出典:セレッソ大阪

2026年4月16日、セレッソ大阪およびセレッソ大阪ヤンマーレディースは、両チームのホームゲーム全試合におけるCO2排出量のカーボンオフセットを完了したと発表した。男女両チームでホームゲーム全試合のオフセットを実現したのは、JリーグおよびWEリーグを通じて初の事例となる。

本取り組みは、大阪ガス株式会社、ヤンマーエネルギーシステム株式会社、セレッソ大阪の3社が共同で推進する環境貢献活動「CO2ゼロチャレンジ」の一環として実施された。

14年にわたる継続的取り組み、女子リーグへも対象拡大

セレッソ大阪では2012年以降、ホームゲームで排出されるCO2の実質ゼロ化を継続してきた。2024/25シーズンからはセレッソ大阪ヤンマーレディースのホームゲームにも同スキームを適用。2024/25シーズン2月から2025/26シーズン12月までのリーグ戦ホームゲーム全試合を対象とし、男女両チームでの完全オフセットを実現した。

算定・オフセット対象はScope1およびScope2に加え、サポーターの移動分までを包含している点が特徴である。サポーター移動はGHGプロトコル上、主催者にとってScope3カテゴリ7(従業員の通勤)に類似した外部排出源であり、本来は算定義務のないScope3相当の排出量を自主的に取り込んでオフセットする構造は、国内スポーツ興行業界において先行事例と位置づけられる。

J-クレジット制度を活用、削減系・除去系の開示は限定的

カーボンオフセットにはJ-クレジット制度が活用されている。J-クレジット制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギー利用によるCO2排出削減量、および適切な森林管理によるCO2吸収量を国が認証する日本独自の制度であり、削減系カーボンクレジットと除去系カーボンクレジット(森林吸収系)の両方を扱うハイブリッド制度である。

参考値として、一般家庭一世帯あたりのCO2排出量は約3.8トン/年とされており、オフセット対象のスタジアム運営とサポーター移動分の排出量はこの基準で可視化されている。ただし、今回の発表では活用したJ-クレジットの種別(削減系カーボンクレジットか除去系カーボンクレジットか)、方法論、創出年次(ビンテージ)などの内訳は開示されていない。ボランタリーカーボンクレジット市場では、追加性永続性の観点から削減系と除去系の品質差が国際的に議論されており、使用カーボンクレジットの詳細開示は今後の透明性確保の鍵となる。

再生可能エネルギー100%で残余排出量を最小化

YANMAR HANASAKA STADIUMは、再生可能エネルギー電気の供給を証明する「EnneGreen®提供証明書」の認定を受けており、セレッソ大阪のホームゲーム時には再生可能エネルギー100%の電力が使用されている。Scope2排出量自体を削減したうえで、残余のScope1およびサポーター移動排出量をJ-クレジットでオフセットする構造は、「削減を優先し、残余をオフセットする」というネットゼロの基本原則(Mitigation Hierarchy)に沿った設計と評価できる。単純にカーボンクレジットでの相殺に依存するのではなく、実排出量の削減努力を前段に置いている点は、グリーンウォッシングを回避するうえで重要な論点となる。

日本のプロスポーツ興行における本件は、Scope3相当の観客移動を自主的にオフセット範囲へ取り込む設計10年以上の継続性の両面で、サステナビリティコミュニケーションの国内ベンチマークとなり得る。

一方、使用するJ-クレジットの種別(削減系/除去系)、方法論、ビンテージの開示は依然として限定的であり、コアカーボン原則(CCPs)やICVCMが求める透明性水準と比較すると改善余地は大きい。

日本企業がスポンサーシップやチームオーナーシップを通じてScope3戦略や顧客エンゲージメントに活用する場合、カーボンクレジット品質の粒度ある開示と、中長期的には炭素除去(CDR)系カーボンクレジットへの段階的シフトが次なる差別化要素となるだろう。

参考:https://www.cerezo.jp/news/2026-0416-1500

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。