カナダのカーボン・アップサイクリング・テクノロジーズ(Carbon Upcycling Technologies、以下カーボン・アップサイクリング)は2026年4月2日、ベンチャー向け成長資本を提供するエーテル・ベンチャーズ(ATEL Ventures)との間で、最大1,000万ドル(約15億9,500万円)のアセット担保型融資契約を締結したと発表した。
同社は低炭素セメント材料のプラットフォームプロバイダーとして位置づけられており、今回の調達はカナダにおける初の商業展開プロジェクトを支援するものだ。
今回の資金は、カナダ・オンタリオ州ミシソーガにあるアッシュ・グローブ・ミシソーガ・セメントプラント(Ash Grove Mississauga Cement Plant)における旗艦プロジェクトに充当される。
同プロジェクトでは、セメントキルンから排出されるCO2を永続的に固定・利用する炭素回収・利用(CCU)技術を適用し、地域産業から生じる副産物を高品質な低炭素補助セメント材料(Supplementary Cementitious Materials、以下SCM)へと転換する。完成後の年間生産能力は最大30,000トンのSCMを見込んでおり、2026年後半の操業開始を目標とする。
エーテル・ベンチャーズはカーボン・アップサイクリングの保有資産を担保に融資を実行するとともに、将来的な株式投資のオプションを取得した。カーボン・アップサイクリングのCFOスージー・タヒリアン(Suzy Taherian)は「このファイナンスにより、適切な資産に適切な資金が結びついた。次世代クリーン産業インフラ構築への礎となる」と述べた。
エーテル・ベンチャーズのVP・ディレクターであるサム・キャッシュ(Sam Cash)は「産業副産物と回収CO2から価値あるセメント材料を製造するこのプラットフォームは、生産者の経済性を改善すると同時に建設サプライチェーンの国内回帰をも実現する」と評価した。
カーボン・アップサイクリングには、ビルダーズ・ビジョン(Builders Vision)、カナダ中小企業開発銀行(Business Development Bank of Canada)、クライメート・インベストメント(Climate Investment)、オキシ・ロー・カーボン・ベンチャーズ(Oxy Low-Carbon Ventures)、アンプリファイ・キャピタル(Amplify Capital)、クリーン・エナジー・ベンチャーズ(Clean Energy Ventures)のほか、世界大手セメントメーカー3社、CRHベンチャーズ(CRH Ventures)、セメックス・ベンチャーズ(Cemex Ventures)、タイタン・グループ(TITAN Group)が戦略的投資家として名を連ねる。同社はグローバル・クリーンテック100への3回選出やキーリング・カーブ賞の受賞歴を持つ。
日本のセメント産業は国内CO2排出量の約4〜5%を占めるハード・トゥ・アベイトセクターであり、今回のCCU技術はその脱炭素化に直結する。国内大手は現在、独自のCCS/CCU実証を進めているが、カーボン・アップサイクリングのようにCO2固定と副産物の材料化を単一プラットフォームで商業化したモデルは参照価値が高い。
将来的にSCM製造プロセスがカーボンクレジット方法論の対象となれば、日本のGX-ETSやJ-クレジット制度との連動も視野に入る。