環境省は2026年2月16日、令和8年度(2026年度)の「シナジー型JCM(二国間クレジット制度)プロジェクト実現可能性調査」の委託業務に関する公募を開始した。
本事業は、アジア地域をはじめとするグローバルサウス諸国において、温室効果ガス(GHG)の排出削減と大気汚染・水質汚濁防止といった環境改善を同時に達成する「シナジー型」プロジェクトの形成を支援するものである。応募締切は同年3月13日を予定している。
日本は2030年度までにGHGを2013年度比で46%削減する目標を掲げており、その達成においてJCMは極めて重要な役割を担っている。今回の公募は、従来の脱炭素単体での取り組みに加え、大気汚染などの深刻な課題を抱える途上国のニーズに応える「コベネフィット型」の環境対策を推進することを目的としている。
特に、2024年の第6回国連環境総会(UNEA6)で日本が提案した「シナジー・協力・連携」に関する決議の採択を受け、気候変動、生物多様性の損失、汚染という3つの世界的危機を統合的に解決するモデル事業の創出が急務となっている。
本事業の主な概要は以下の通りである。
なお、廃棄物処理サービスそのものや、処理事業者から委託を受けた施設建設事業は対象外となる。
今回の選定プロセスでは、プロジェクトの具体性だけでなく、カーボンクレジット創出の効率性や企業の組織体制が厳しく評価される。
公募に関する質問は2026年3月2日まで受け付けられ、同月6日までに回答が公開される。その後、書類審査とプレゼンテーション審査を経て、4月下旬頃に選考結果が通知される予定だ。
今回の公募要領からは、JCMが単なる「排出量取引の手段」から、途上国の社会課題を包括的に解決する「持続可能な開発のツール」へと進化していることが鮮明に読み取れる。
特に注目すべきは、削減コスト「4,000円/t-CO2」という具体的な指標。これは現在の国際的なカーボンクレジット価格推移を意識した現実的なラインであり、日本の中小・スタートアップ企業が持つ高度な水処理・大気浄化技術を、脱炭素文脈でパッケージ化して海外展開する大きな好機となるだろう。