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バージニア州、RGGI正式復帰へ 単独法案で離脱障壁を制度化、米国州レベル市場が再評価局面に

2026.05.10 読了 約3分
バージニア州、RGGI正式復帰へ 単独法案で離脱障壁を制度化、米国州レベル市場が再評価局面に
出典:イメージ

バージニア州のスパンバーガー(Abigail Spanberger)知事は、米国北東部・中部大西洋諸州による電力部門キャップ&トレード制度であるリージョナル・グリーンハウス・ガス・イニシアチブ(Regional Greenhouse Gas Initiative、RGGI)への再参加を義務付ける一連の法案に署名した。

州環境品質省(DEQ)は2026年5月21日までに規制を再施行し、7月1日から完全コンプライアンスを再開する。およそ3年ぶりの復帰となる。

スパンバーガー知事は、2026年2月20日に予算修正法案HB29に、続いて4月13日に単独法案HB397および上院法案SB802に署名した。これら3本の法律は、すべての州機関にRGGI再参加に必要な措置を講じるよう義務付け、参加が法定要件であることを明確化する内容である。バージニア州が初参加した2021年にはRGGIプログラム全体のキャップカバレッジを30%拡大した経緯があり、復帰によりこの規模が回復する。

単独法案が「行政命令単独での離脱」を実質封鎖

注目すべきは、HB397/SB802という単独法案の構造的意味である。バージニア州は2023年、当時のヤンキン(Glenn Youngkin)前知事が行政命令で離脱を指示し、3年間プログラム外に置かれた。裁判所は後にこの離脱を違法と判断したものの、2025年3月に提起された控訴によって州の不在は継続していた。

新法は「RGGI参加が常に法定要件であった」と明示することで、将来の政権交代に伴う行政命令単独での離脱を実質的に封じる構造となっている。州議会の関与なしには制度離脱ができない。これは制度の政治的耐性を法定レベルで担保する設計であり、米国州レベル・カーボンプライシング制度が「ロックイン」段階に入りつつあることを示している。

対照的な事例が、隣接するペンシルベニア州である。

同州は2025年11月12日、135日間にわたる予算協議の合意の一環としてRGGIから離脱した。シャピロ(Josh Shapiro)知事が予算決着の交換条件としてRGGI規制の撤回に同意し、州最高裁判所も2026年1月に係属中の控訴を却下している。バージニアの「法定化による耐性」とペンシルベニアの「予算交渉での放出」は、米国州レベル制度における脆弱性と耐性のスペクトラムを象徴している。

バージニア復帰の市場インパクトはすでに顕在化している。RGGIアローワンス(排出枠)2026年12月限は2026年2月中旬以降に2倍以上に上昇し、バージニア再参加が価格上昇要因の一つとして作用している。

示唆

米国連邦レベルでの気候政策の不確実性が継続するなか、州レベルのカーボンプライシング制度は質的な転換点にある。バージニアの「法定化された耐性」は、カリフォルニア州キャップアンドトレード制度、ワシントン州気候コミットメント法、RGGIといった米国州レベル制度群を、より長期視野で評価できる対象として再定位させる。

なお、バージニア再参加によりRGGIは現状の10州(コネチカット、デラウェア、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモント)から11州体制に戻る。2025年11月のペンシルベニア州離脱以降、参加州は10州となっていた。

連邦レベルが揺れ続ける米国において、州レベルのカーボンプライシング制度を「政治サイクルに依存する不安定な仕組み」と見る評価軸は、バージニアの法的構造化によって部分的に陳腐化し始めた。

参考:https://www.governor.virginia.gov/newsroom/news-releases/2026/april-releases/name-1116470-en.html

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。