リムーブ(remove)が運営する炭素除去(CDR)特化型アクセラレータープログラムが、中南米地域への展開を正式に発表した。ミルキーワイア(Milkywire)クライメート・トランスフォーメーション・ファンド(CTF)の支援を受けた今回の拡大は、欧州・インド・アフリカに続く第4の地域展開となる。
リムーブは2026年3月末、中南米向けアクセラレータープログラムの準備が進んでいることをLinkedIn上で公表した。公式の募集開始時期は未定であるが、興味を持つスタートアップはすでにオンラインで事前登録が可能となっている。
プログラムの核心にあるのは、炭素除去(CDR)という新興分野における実践的支援だ。コーチングセッションのほか、技術・政策の専門家、主要なCDR購買企業、検証機関、資金調達の専門家とのネットワーク構築機会が提供される。参加者は800名超のコミュニティへのアクセス権を得る。
プログラムは「ファウンデーションズ(Foundations)」と「リープ(Leap)」の2段階で構成され、期間は8ヶ月間となっている。
第1段階:ファウンデーションズでは、中南米域内のカーボンクレジット市場と気候政策、購買企業の視点、そして測定・報告・検証(MRV)の課題に焦点を当てた集中プログラムを実施する。段階の終盤には「ピッチデー」が設けられ、これが第2段階への選考基準となる。
第2段階:リープでは、商業的な実績を示したスタートアップが世界規模のCDRスタートアップコホートに加わる。この段階に進出したスタートアップには、1万7,000ドル(ユーロ換算1万5,000ユーロ、円換算約270万円)以上の購買契約が提示される。
本プログラムの重要な特徴として、エクイティ(株式持分)を一切取得しない点が挙げられる。CDR技術の直接開発以外を担う「イネーブラー(Enabler)」と位置づけられる企業向けには、リカバラブル・グラント(返還条件付き助成金)が提供される仕組みとなっている。
資金面では、ミルキーワイアのCTFが中南米アクセラレータープログラムを支援しており、リムーブはこの資金を活用して地域のイノベーション促進、エコシステムの成長、および炭素除去市場の形成を目指している。
今回の発表は、中南米のCDR分野における動きの加速と時期を同じくしている。カーボン・ビジネス・カウンシル(Carbon Business Council)が最近ブラジルでのCOP30を前に中南米向けのカーボン除去ワーキンググループを設立したほか、ブルーカーボンを含む自然由来の炭素除去プロジェクトを対象とした提案依頼書(RFP)も中南米地域を対象に発行されるなど、地域全体として炭素除去への関心が高まっている局面にある。
二国間クレジット制度(JCM)を通じて中南米各国と連携する日本企業にとって、リムーブのアクセラレータープログラムは無視できない動きである。
プログラムが発掘・育成するCDRスタートアップは、将来的な高品質カーボンクレジットの供給源となりうるほか、日本のCDR技術・資本との連携機会を早期段階から開拓できる可能性がある。
特に炭素除去(CDR)の調達先として中南米の自然由来・技術由来の両面に関心を持つ企業は、プログラムの動向を継続的にウォッチすることを推奨する。
参考:https://remove.global/latam-accelerator
参考:https://www.linkedin.com/posts/remove-accelerator_our-support-for-cdr-startups-will-soon-activity-7444654824438038529-cbdH