最新ニュース
海外ニュース

ICAO、CORSIAフェーズ2に26件の申請 義務化移行を前に航空カーボン市場が拡大局面へ

2026.04.05 更新 2026.04.06 読了 約5分
ICAO、CORSIAフェーズ2に26件の申請 義務化移行を前に航空カーボン市場が拡大局面へ
出典:イメージ

国際民間航空機関(ICAO)は、CORSIAの第2フェーズ(2027〜2029年コンプライアンス期間)を対象に、カーボンクレジット供給適格プログラムの認定を求める26件の申請を受理したと発表した。

2026年3月9日に締め切られた2026年アセスメントサイクルへの申請に対し、ICAOのテクニカル・アドバイザリー・ボディ(TAB)が審査を開始した。

審査プロセスと主な申請者

TABは各申請プログラムについて、追加性永続性測定・報告・検証(MRV)水準を含む環境整合性基準への適合を精査する。パブリックコメントの受付期間は2026年4月26日までで、最終勧告はICAO理事会第239回会期(2026年10月)で提示される見通しだ。

注目される申請者のひとつが、高整合性の除去系カーボンクレジット供給における役割拡大を目指すアイソメトリック(Isometric)である。また、パリ協定クレジットメカニズム(PACM: Paris Agreement Crediting Mechanism)の2025年提出分も今サイクルで審査される。さらに、グローバル・カーボン・カウンシル(Global Carbon Council)やクライメート・アクション・リザーブ(CAR: Climate Action Reserve)など、既存の主要レジストリ(登録簿)も申請リストに名を連ねている。

TABによる審査を通過し適格と勧告されたプログラムは、2027〜2029年の第2フェーズに向けた供給適格プログラムとして指定されるほか、2024〜2026年の第1フェーズ対象プログラムとして追加推薦される可能性もある。

CORSIAフェーズ2の概要

CORSIAフェーズ2(2027〜2035年)は、第1フェーズの自発的参加段階から義務的コンプライアンス段階へと移行する重大な制度的転換を意味する。一部の途上国は引き続き適用除外となるものの、2026年初時点で130カ国が参加を表明している。

特に重要なのがベースラインの変更だ。フェーズ2では、オフセット義務の算定基準が2019年排出量の85%に設定されており、フェーズ1と比較して実質的な要件が大幅に厳格化される。コロナ禍後の航空需要回復が続く中、この変更は航空会社が調達すべきカーボンクレジットの量を直接的に押し上げる要因となる。

2026年のMRVスケジュールと運用動向

ICAOが2026年2月に配信したニュースレターによれば、今年の主要な実施期限は以下の通りだ。

  • 2026年4月30日まで:航空機オペレーターおよび第三者検証機関が2025年CO2排出量の検証報告書を各国へ提出
  • 2026年7月31日まで:各国がCORSIA中央登録簿(CCR: CORSIA Central Registry)を通じ、集約CO2排出量データをICAOへ報告
  • 2026年11月30日まで:各国が年間成長セクター係数(SGF: Sector Growth Factor)を用いて2025年のオフセット義務量を算定し、各オペレーターへ通知

なおICAOは、CORSIA適格排出量ユニット(CEEU: CORSIA Eligible Emissions Units)の発行動向を可視化する新ダッシュボードを公開した。承認済みプログラムのレジストリ(登録簿)データを毎月更新し、航空機オペレーターが適格ユニットを特定しやすい環境を整備している。

また、2026年6月2〜4日にはモントリオールのICAO本部にて「ICAOアビエーション・クライメート・ウィーク(ICAO Aviation Climate Week)2026」が開催予定。「One Global Path: Advancing Net-Zero Aviation(ひとつの地球規模の道:ネットゼロ航空を前進させる)」をテーマに、持続可能な航空燃料(SAF)の進捗状況やCORSIAの最新動向、航空ファイナンス戦略が論じられる。

申請件数の急増が示す市場構造の変容

今回の26件という申請数は、CORSIA第2フェーズに向けてカーボンクレジット供給市場への参入意欲が高まっていることを端的に示している。アイソメトリックのような除去系カーボンクレジット供給者が適格プログラムとして承認されるか否かは、CORSIAにおける除去系カーボンクレジットと回避系カーボンクレジットの供給バランスを大きく左右しうる。2026年10月の理事会勧告が、2027年以降の航空カーボン市場の構造を決定づける分水嶺となる。

日本航空(JAL)・全日本空輸(ANA)にとって、CORSIAフェーズ2の義務化移行と供給適格プログラムの拡大は調達戦略の根本的な見直しを迫るものだ。ベースラインが2019年比85%に引き締まる中、調達可能なカーボンクレジットの質と量がコンプライアンスコストに直結する。

とりわけアイソメトリックのような除去系カーボンクレジット供給者の動向は、日本企業のScope1・3排出削減に連動する形で、国内GX-ETSや二国間クレジット制度(JCM)との整合性という観点からも注視が求められる。

参考:https://www.icao.int/sites/default/files/environmental-protection/CORSIA/Newsletter/CORSIA-Newsletter_Feb-2026_v5.pdf

関連タグ CORSIA
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。