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ドイツ、2024年閉鎖の石炭火力14基分のEU排出枠を市場から永久撤去へ 脱石炭の気候効果を担保

2026.05.01 読了 約3分
ドイツ、2024年閉鎖の石炭火力14基分のEU排出枠を市場から永久撤去へ 脱石炭の気候効果を担保
出典:<a href="https://www.dehst.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2025-027-gernany-cancels-emissions-certificates.html" target="_blank">dehst</a>

ドイツ政府は、2024年に閉鎖したEU排出量取引制度(EU ETS)対象の発電所14基に紐づくEU排出枠(EUA)の自主的な無効化(キャンセル)について、欧州委員会(European Commission)への正式通知を完了した。

同国の脱石炭政策によって解放された排出枠が他のEU域内事業者に流通し、結果として全体の排出削減効果が相殺される「ウォーターベッド効果」を防ぐことが目的である。

欧州委員会は2025年11月にドイツからの初回通知を受領し、約1か月後に手続きを完了したが、当該通知の内容が一般公開されたのは2026年4月28日である。

法的根拠と手続きの仕組み

ドイツは、温室効果ガス排出量取引法(Treibhausgas-Emissionshandelsgesetz)第10条第5項に基づき、廃止された発電所に紐づく排出枠を回収する法的義務を負う。これは、石炭火力の段階的廃止が単に他事業者への排出枠移転に終わらず、実質的な排出削減につながるよう担保するための制度である。

通知はEU ETS指令第12条第4項およびオークション規則第25条に定められた無効化手続きに従って行われ、対象発電所、無効化数量の算定方法、最大数量、および無効化期間が含まれる。ドイツは毎年5月31日までに、当該年9月1日から12月31日までに無効化する排出枠数を欧州委員会に通知する必要がある。最終的な数量は、将来公表される排出量報告に基づいて確定し、EU ETSの市場安定リザーブ(MSR)によって既に自動吸収された数量を控除して調整される。

過去の実績と財政的影響

今回の通知は、2022年と2023年の発電所閉鎖に関連してドイツが既に実施した無効化措置を踏襲するものである。2022年に閉鎖されたノイラートA(Neurath A)およびフレッヘン(Frechen)発電所の停止を受け、2025年には約51万4,000トンのCO2に相当する排出枠が初めて無効化された。これら2022年の閉鎖により、翌2023年には約89万トンのCO2排出が回避されたと推計されている。

無効化は財政コストを伴う。ドイツの2025年通年の暫定オークション量は9,676万4,500枚であり、2022年閉鎖分の無効化により約3,600万ユーロ(約60億4,800万円)のオークション収入を失ったとされる。これは本来、気候・転換基金(KTF)の財源に充てられる予定であった。今回通知された2024年閉鎖の14基分についても、相応の財政負担が発生する見込みである。

「ウォーターベッド効果」回避と市場整合性の担保

排出枠が無効化されない場合、解放された数量は他企業によって取得され、追加的なCO2排出に充てられうる。MSRは余剰枠を一定程度吸収する仕組みだが、それだけでは脱石炭の環境的意義を完全には担保できない。ドイツによる国内手続きでの追加的な無効化は、MSRを補完し、石炭火力閉鎖の気候効果がEU加盟国およびETSに参加するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインを含む全域で確実に実現されることを目的としている。

ベルリンによる継続的な無効化措置は、コンプライアンスカーボンクレジット市場の環境的整合性を国家政策として保護するパターンとして定着しつつある。

参考:https://www.dehst.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2025-027-gernany-cancels-emissions-certificates.html

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。