オランダ・ロッテルダム港で液体CO2ターミナルを開発するコンソーシアム「CO2next(シーオーツーネクスト)」は、2026年3月16日、鉄道タンク車によるCO2受け入れ設備の増設に向けた市場需要調査(Call for Interest)を正式に開始した。
水路やパイプライン網から隔離された内陸部の産業拠点に対し、炭素回収・貯留(CCS)へのアクセスを拡大することが狙いであり、欧州における大規模CCSインフラ整備の新たな局面を示すものである。
今回の市場需要調査は、鉄道輸送の技術的・物流的要件に関する実現可能性調査の結果を受けて実施されるものである。同調査ではロッテルダム・マースフラクテ地区における鉄道荷降ろし施設の設置可能性、レイアウト、安全性評価、および許認可プロセスの経路が検討された。
CO2nextは、現行計画では船舶による液体CO2受け入れを主軸としたオープンアクセス型の液体CO2ターミナルをマースフラクテに整備する方針である。そこに鉄道タンク車による荷降ろし機能を加えることで、水路やCO2専用パイプラインの沿線に位置しない工場・施設からも、北海の枯渇ガス田を活用した永続的な貯留サイトへと接続できる回路が整う。
本プロジェクトを主導するのは、ヴォパック(Vopak)、ガズニー(Gasunie)、シェル(Shell)、トタルエナジーズ(TotalEnergies)という欧州エネルギー・物流の主要企業群によるコンソーシアムである。ターミナルは、北海の枯渇ガス田へCO2を輸送するオフショアパイプライン「アラミス(Aramis)」に直接接続される予定であり、欧州全域を対象とした統合的なCO2輸送・貯留ネットワークの中核ハブとして機能することが期待されている。
欧州における産業部門の脱炭素化において、最大の構造的障壁の一つが「CCSインフラへの物理的アクセスの偏在」である。現行のCCS輸送スキームは沿岸・水路沿いの大規模排出源を主な対象としており、内陸の中小規模工場は参加機会が限られてきた。
今回の鉄道対応は、このアクセス格差を是正する点に本質的な意義がある。既存の鉄道網を活用することで、パイプライン敷設などの巨額新規投資を要せず、より広範な産業主体がCCS・炭素回収・利用・貯留(CCUS)に参加できる経路を切り開く。これは、将来的にボランタリーカーボンクレジット市場における除去系カーボンクレジット、とりわけ高品質な技術由来クレジットの供給拡大にも直結する動きである。
CO2nextは2026年4月2日まで、市場参加者からの関心表明(Expression of Interest)を受け付ける。
船舶・内陸水路・鉄道というマルチモーダル輸送体制の確立は、欧州CCSの規模を飛躍的に拡大させ、2050年ネットゼロ目標に向けた「炭素物流の統合ハブ」としてのロッテルダムの役割をさらに強化するものとなる。
参考:https://co2next.nl/call-for-interest-for-delivery-of-co2-by-rail/