スタンフォード大学の新研究によると、カリフォルニア州が2045年までに温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにし、以降は毎年マイナス排出(ネットネガティブ)を達成することは「技術的には可能」だが、実現には前例のない速度でインフラを整備し、新興技術と研究段階の技術を同時に拡大する必要があるという。
研究は、学術誌『エナジー・ポリシー(Energy Policy)』に掲載されたもので、電力需要、技術コスト、社会全体の排出量の将来予測をモデル化。結果として、同州が目標を達成するには、再エネ発電能力を現在の約80ギガワット(GW)から約170GWへ倍増し、さらに54GWの蓄電容量を新設する必要があると示した。輸送、建築、産業の電化により、電力需要は急増するとみられる。
リード著者でスタンフォード大学博士課程のジョシュア・ノイテル氏は「既存のインフラと政策枠組みのままでは、プロジェクトの許認可と系統接続の遅延が最大の障害になる」と指摘した。
研究は、排出削減を「商用段階」「実証・初期商用段階」「研究段階」の三つに分類した。
スタンフォード炭素貯留センターのマネージングディレクター、サラ・サルツァー氏は「2045年までに実質ゼロを義務とするなら、CDRは不可欠な要素になる」と述べた。
研究チームは、州が許認可や系統接続の迅速化を進めるほか、CCS付き火力発電を再エネ枠に組み入れる制度改正、EV・太陽光発電への税制優遇の継続などを提言している。
また、バイオ由来の「再生可能天然ガス」や「再生可能ディーゼル」を、重工業や長距離輸送など脱炭素が難しい分野で活用する方針の検討も求めた。
サリー・ベンソン教授(同大ドーアサステナブルスクール)は「問題はコストではなく、必要な技術をどれだけ早く市場に投入し、社会と政策を整えるかだ」と強調した。