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新宿エルタワーの熱供給を全量カーボンニュートラル化 J-クレジットで年間約2,000トンをオフセット

2026.04.02 読了 約3分
新宿エルタワーの熱供給を全量カーボンニュートラル化 J-クレジットで年間約2,000トンをオフセット
出典:イメージ

朝日生命保険相互会社(以下「朝日生命」)、三信株式会社(以下「三信」)、および東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(以下「TGES」)の3社は2026年4月1日、東京・新宿に立地する新宿エルタワー(以下「エルタワー」)へ供給される熱の全量カーボンニュートラル化を開始した。

TGESが運営する新宿西口地域冷暖房センターからエルタワーへ供給される冷熱・温熱に伴うCO2排出量(年間約2,000トン)を、省エネルギー設備由来のJ-クレジットで全量カーボンオフセットする。都市部の地域冷暖房事業における「熱のカーボンニュートラル化」として、TGESが運営する事業で初の事例となる。

J-クレジットによるカーボンオフセットの仕組み

新宿西口地域冷暖房センターは冷熱・温熱を製造し、エルタワーをはじめオフィスビルや学校など計8箇所へ供給している。熱の製造過程では冷凍機やボイラを稼働させるためのCO2が排出されるが、本取り組みではエルタワーの年間熱使用量に対応するCO2排出量(年間約2,000トン)を、TGESが調達する省エネ由来のJ-クレジットで相殺する構造をとる。

活用するカーボンクレジットは、J-クレジット制度における「省エネルギー由来」の区分に属するものであり、省エネ設備の導入によって得られたCO2削減効果を国が認証・証書化したものだ。J-クレジットは国内認証スキームとして信頼性が高く、企業の温室効果ガス報告にも直接反映できる点が特徴である。

温対法SHK制度上の効果、調整後排出係数ゼロを実現

本取り組みの法的意義として特筆すべきは、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)への対応効果である。本取り組みを通じ、朝日生命と三信はエルタワーにおける熱使用に伴う温室効果ガス排出量を、調整後排出係数ゼロの熱として報告できるようになる。

これはScope2排出量の管理において実質的な削減効果として機能する。電力の再エネ化と同様のロジックを熱供給にも適用できることを示した点で、SHK制度対応に取り組む大規模ビルオーナーや法人テナントへの参考事例となりうる。

各社のサステナビリティ戦略における位置づけ

朝日生命は2023年度までに対象とするすべての投資用ビルの使用電力を再生可能エネルギーへ切り替え完了しており、今回の熱のカーボンニュートラル化はその取り組みを補完するものだ。三信も2025年度までに保有する全ビルの電力を再エネ化しており、電力に続き熱についても脱炭素対応を完遂した。両社は保有ビルでの環境認証取得も並行して推進している。

TGESは「IGNITURE」ブランドの下で法人向け脱炭素・省エネ・レジリエンスソリューションを展開しており、本取り組みはJ-クレジットを活用した熱のカーボンニュートラル化サービスの実績として都市型地域冷暖房の新たなモデルを示す。

電力の再エネ化が先行する中、「熱」は日本の建物脱炭素対応における最後のフロンティアの一つとされてきた。

今回のTGESによるJ-クレジット活用モデルは、地域冷暖房プロバイダーが熱供給の付加価値としてカーボンニュートラル化をサービス化する先例を示しており、SHK制度対応コストに頭を悩める大規模オフィスビルオーナーにとって現実的な選択肢を提示している。

省エネ由来カーボンクレジットの法人需要が拡大する中、類似スキームが都市部の地域冷暖房事業全体へ波及する可能性に注目したい。

参考:https://www.asahi-life.co.jp/company/newsrelease/20260401_2.pdf

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。