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森林・木材の炭素蓄積変化量、調整後GHG排出量の算入対象に 環境省・経産省・農水省が新告示を公布、2026年4月1日適用

2026.03.31 読了 約3分
森林・木材の炭素蓄積変化量、調整後GHG排出量の算入対象に 環境省・経産省・農水省が新告示を公布、2026年4月1日適用
出典:イメージ

国内事業者の温室効果ガス(GHG)排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)において、自社所有森林の吸収量や木材製品への炭素固定量を調整後排出量の計算に任意で組み込むことが可能となった。

環境省・経済産業省・農林水産省は2026年3月23日に関連告示を公布し、同年4月1日から適用する。

改正の背景

地球温暖化対策推進法(平成10年法律第117号)第26条第1項に基づき、特定事業所排出者は毎年度、基礎排出量と調整後排出量を主務大臣に報告する義務を負う。これまでの調整後排出量の算定では、再生可能エネルギー由来の非化石証書やJ-クレジット制度(J-クレジット制度)を活用した削減・吸収カーボンクレジットのリタイアメント(償却)が主な調整手段であった。

2023年9月から2025年6月にかけて開催された「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会」での議論を受け、自社保有森林の吸収量等を調整後排出量に任意で反映できるよう制度を整備することが決定された。

告示の主な内容

今回公布された告示は二本立てである。一つは新設の告示「森林等炭素蓄積変化量の算定方法(令和8年農林水産省・経済産業省・環境省告示第1号)」で、もう一つは既存告示「調整後温室効果ガス排出量を調整する方法」の改正である。

算定対象は三区分に整理された。

第一は事業者が所有する森林の炭素蓄積変化量で、樹種・林齢区分ごとの蓄積変化量(立方メートル)に公表係数を乗じてCO2換算する。地域森林計画の対象森林が基本であり、実測値の活用も認められる。

第二は土地用途変更(森林⇔非森林の転換)に伴う炭素蓄積変化量で、20年間の変化量を年平均換算して算定する。

第三は建築物・家具等に使用される木材の炭素蓄積変化量で、使用量(立方メートルまたはキログラム)に品目・樹種別係数を乗じる。合法性確認木材等(いわゆる「グリーンウッド」)の使用が要件となる。

算定した森林等炭素蓄積変化量の取り扱いは以下の通りである。

正の値(炭素蓄積の増加)は調整後排出量から控除できる。負の値(伐採・土地転換等による炭素減少)は逆に調整後排出量に加算しなければならない。他の特定排出者から森林・木材を譲渡された場合はその過年度報告値を合算して控除でき、逆に譲渡した場合は過年度報告値を加算する。他者所有の森林を委託管理している場合は、所有者の同意があれば自らの調整後排出量の算定に使用することもできる。

災害等のやむを得ない事由による炭素減少は報告から除外できる特例も設けられた。

適用時期と経過措置

適用期日は令和8年4月1日(2026年4月1日)。ただし、改正後の規定による報告義務が実際に生じるのは令和9年度(2027年度)以降に行う令和8年度分の排出量報告からである。一度森林等炭素蓄積変化量を報告した事業者は、以後毎年度の継続報告義務が生じる点に留意が必要だ。

日本企業の気候変動対応への含意

今回の改正は、自社林を保有する大手製紙・林業・建設・不動産企業にとって直接的な影響を持つ。単なる会計上のメリット(調整後排出量の圧縮)にとどまらず、森林の適切な管理・保全が自社のカーボンプライシング戦略に組み込まれることを意味する。サプライチェーン上流における木材調達のトレーサビリティや合法性確認の整備も求められ、Scope 3排出量の管理精度向上にも波及する。SBTi(SBTi)対応や気候変動情報開示を進める企業にとって、この告示は国内の測定・報告・検証(MRV)インフラの質的向上に向けた重要な一歩と評価できる。

参考:https://www.env.go.jp/press/press_03629.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。