カナダの炭素除去開発企業ディープスカイ(Deep Sky)は、アルバータ州イニスフェイルの直接空気回収(DAC)施設「Deep Sky Alpha」から、北米初となる認証付きのDAC由来炭素除去カーボンクレジットを創出した。認証はアイソメトリック(Isometric)が独立検証のうえ付与し、創出されたカーボンクレジットはマイクロソフト(Microsoft)とロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)に、2034年まで続く炭素除去(CDR)購入契約のもとで供給される。
認証はアイソメトリックのDACプロトコルに基づき、第三者による独立検証を経て付与された。同プロトコルは、正味の除去量を算定する際にプロジェクト由来の排出をすべて計上すること、そして安全かつ永続的な貯留を確認する長期モニタリングを要件とする。
アイソメトリックは、ICVCMからコアカーボン原則(CCPs)ラベル付きのDAC由来カーボンクレジット発行を認められた初の認証機関である。本件は世界初のCCPラベル付きDAC炭素除去カーボンクレジットに当たり、同社にとっても初のDAC発行となる。
ディープスカイのアレックス・ペトレ(Alex Petre)CEO、アイソメトリックのイーモン・ジュバウィ(Eamon Jubbawy)CEOはいずれも、今回の発行を商業運転と規模拡大に先立つ実証上の通過点と説明している。
供給先のマイクロソフトとRBCは、2034年まで続く購入契約の起点として本件カーボンクレジットを受け取る。
Deep Sky Alphaは2024年秋に設計に着手し、2025年夏に試運転へ移行した。建設開始から18か月以内に、大気中から回収したCO2の初回地中貯留を達成している。初回に貯留したCO2は14トン、施設の想定回収能力は年間約3,000トンで、複数のDAC技術を試験する実証拠点として運用される。
ディープスカイは提携網も広げている。マイクロソフトとRBCのほか、三井住友銀行、TDバンク・グループ(TD Bank Group)、ルフトハンザ・グループ(Lufthansa Group)、エンジー(ENGIE)とカーボンクレジット契約を結ぶ。実証段階の出資にはビル・ゲイツ系のブレークスルー・エナジー・カタリスト(Breakthrough Energy Catalyst)も名を連ねる。三井住友銀行は、日本でのDAC・CDR普及を見据えた出資と位置づけている。
本件は高品質DACカーボンクレジット市場の構造転換点というより、認証経路の確立を示す実証段階の一里塚として位置づけられる。CCPラベルの付与も、ICVCM認定済みの認証機関による検証という制度設計を踏まえれば、時間の問題だった。
日本にとっての含意は、供給確保の順番にある。三井住友銀行はすでに日本でのDAC・CDR普及を見据えてディープスカイに出資しており、日系資本が認証済みの高品質なDAC由来カーボンクレジットへ早期に接続する足がかりを得た。
ただし、初回14トン、年間約3,000トンという規模と、DAC由来カーボンクレジットの高い単価を踏まえれば、調達の確実性は依然として限定的である。日系勢が早期接続の優位を実益に変えられるかは、実証から商業運転への規模拡大がどこまで現実の供給量を伴うかに左右される。