東京都は2026年3月30日、都独自のカーボンクレジット取引システム「東京都カーボンクレジットマーケット」と、カーボンクレジット・排出量取引プラットフォーム「Carbon EX」とのシステム連携を開始したと発表した。
アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を通じてプラットフォーム間でカーボンクレジット情報を連携し、都内中小企業が購入できるカーボンクレジットの選択肢を拡充する。
東京都は2050年ゼロエミッション実現を政策目標に掲げ、都内中小企業の脱炭素化支援の一環として「東京都カーボンクレジットマーケット」を運営してきた。同システムはJ-クレジットおよび海外ボランタリーカーボンクレジットを取り扱い、登録・利用料は無料で国内法人・任意団体が対象となる。
今回の連携により、Carbon EX株式会社(Carbon EX Co., Ltd.)が取り扱うカーボンクレジットの一部が同マーケットでも購入可能となった。東京都は同社と協定を締結し、プラットフォーム間の情報連携基盤を整備した。
カーボンエックス株式会社(Carbon EX Co., Ltd.)は2023年6月、サステナビリティ経営支援を手がけるアスエネ株式会社と、多角的な金融サービスを展開するSBIホールディングス株式会社の合弁会社として設立された。代表者は西和田浩平氏および竹田峻輔氏。本社は東京都港区虎ノ門に置く。
同社が運用する「Carbon EX」は、2025年8月末時点でカーボンクレジットおよび排出枠の累計取扱高が150万トンを突破しており、同社調べによれば国内最大規模の水準に達しているとしている(2026年2月時点)。
東京都カーボンクレジットマーケットは、ブロックチェーン技術を採用し、カーボンクレジットをトークン化カーボンクレジットとして発行・流通させる機能を備えている。取引履歴は暗号化され、不正や改ざんを防止する。また、購入したトークン化カーボンクレジットは、二次流通(システムへの再出品)にも対応しており、市場流動性の確保を図っている。なお、一部のカーボンクレジットについてはオフセット証明書を発行して交付する形式をとる。
同システムの利用にあたっては、J-クレジット制度や認証機関ごとに個別の口座開設が不要である点も、中小企業にとっての参入障壁を下げる重要な特徴となっている。
東京都は同マーケットで購入したカーボンクレジットを活用した「カーボンクレジット活用促進事業」も展開しており、自社製品等のブランディングやプロモーションに取り組む事業者を支援している。カーボンクレジットの購入・活用を単なるオフセット手段にとどまらず、企業価値向上のツールとして位置づける戦略的な施策といえる。
Carbon EXとの連携は、東京都のカーボンクレジット市場インフラが「自前調達」から「プラットフォーム連合」へと進化する転換点を象徴する。
国内ボランタリーカーボンクレジット市場において流動性・品質の両立が課題とされるなか、累計150万トン規模の取扱実績を持つ民間プラットフォームとの接続は、供給サイドの厚みを実質的に底上げする効果がある。
GX-ETSの段階的拡大が進むなかで、コンプライアンスと自主的なカーボンクレジット活用の境界が縮まりつつある現在、この種のインフラ整備は中小企業の市場参加コストを下げる上で重要な役割を果たすことになる。
参考:https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/03/2026033128