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インド、国内カーボンクレジット市場ポータルを正式開設 4ヶ月以内にETSの取引開始へ

2026.03.29 読了 約4分
インド、国内カーボンクレジット市場ポータルを正式開設 4ヶ月以内にETSの取引開始へ
出典:イメージ

インドは2026年3月21日、ニューデリーで開催されたカーボンクレジット国際会議「プラクリティ(Prakriti)2026」の場において、インド・カーボン市場(ICM:Indian Carbon Market)ポータルを正式に公開した。

電力省のマノハル・ラール(Manohar Lal)大臣は同日、ポータル開設から4ヶ月以内、すなわち2026年7月頃を目途にカーボンクレジット証書(CCC:Carbon Credit Certificates)の正式取引が開始される見通しであると明言した。

ICMポータルの概要と役割

新設のICMポータルは、炭素クレジット取引スキーム(CCTS:Carbon Credit Trading Scheme)の運用インフラとして位置づけられる。エネルギー効率局(BEE:Bureau of Energy Efficiency)が電力省および環境・森林・気候変動省の監督下で開発・管理し、次の機能を集約した中央プラットフォームとして機能する。

  • プロジェクト登録:義務対象事業者および非義務対象の自主参加者の登録窓口
  • 測定・報告・検証(MRV:排出量データの提出・検証管理
  • カーボンクレジット取引:電力取引所を通じた証書売買の基盤

参加を希望する事業者は、取引開始前にポータル経由での登録が必須となる。

市場構造、コンプライアンス機構とオフセット機構の二本柱

CCTSは以下の二つの機構から構成される。

コンプライアンス機構は、鉄鋼・セメント・アルミニウム・肥料・石油精製など9つのエネルギー集約型産業を対象とした強制参加型の排出量取引制度(ETS)である。対象事業者は約490社に上り、BEEが設定する温室効果ガス(GHG)排出強度目標(製品単位当たりのGHG排出量)の達成が義務付けられる。目標を超過達成した事業者はカーボンクレジット証書を取得・売却でき、未達の事業者は証書を購入して義務を履行する仕組みだ。なお、既存のエネルギー効率改善スキーム「PAT(Perform Achieve and Trade)スキーム」は段階的にコンプライアンス機構へ移行される。

オフセット機構は、義務対象外の事業者、再生可能エネルギー事業者や農業・廃棄物・輸送など多様なセクターが自主的に排出削減・除去プロジェクトを登録し、カーボンクレジット証書を取得できるベースラインアンドクレジット型の自主参加制度である。現時点で40社超が早期参加として名乗りを上げている。第二フェーズには炭素回収・利用・貯留(CCUS)や炭素除去(CDR)関連プロジェクトの組み込みも予定されている。

制度の背景、Paris協定NDCと国内市場整備の経緯

インドは2022年に改定したNDC(国が決定する貢献)において、2030年までにGHG排出強度を2005年比45%削減する目標を掲げた。国内では過去にクリーン開発メカニズム(CDM)において世界第2位のプロジェクト登録実績を持ち、PATスキームによる累積削減量は2015年以降で1億600万トンを超える。こうした蓄積をもとに、2022年の「エネルギー保全(改正)法」によりCCTSの法的根拠が整備された。

制度の監督機関は電力省次官と環境・森林・気候変動省次官が共同議長を務める国家運営委員会(NSCICM)であり、レジストリ(登録簿)はグリッド・コントローラー・オブ・インディア(GCI:Grid Controller of India)が運営する。取引規制は中央電力規制委員会(CERC:Central Electricity Regulatory Commission)が担う。

インドのICM本格稼働は、グローバルなカーボンクレジット市場の地政学的重心をアジアへとさらにシフトさせる可能性を持つ。JCM(二国間クレジット制度)や二国間クレジット制度(JCM)を通じてインドとの気候協力を深める日本にとって、特にパリ協定6条に基づく国際移転対応クレジット(ITMO)の文脈で、ICM由来カーボンクレジットとの連携スキームが今後の交渉テーブルに上がる可能性は十分にある。

GX-ETSの本格化を控える日本企業、とりわけインドに製造拠点を持つ総合商社・素材・エネルギー各社は、ICMの制度設計とクレジットの追加性・永続性要件を早期に精査しておくことが望ましい。

参考:https://www.pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=2223703&reg=3&lang=2#:~:text=The%20Carbon%20Credit%20Trading%20Scheme,Carbon%20Credit%20Certificates%20(CCC).

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。