中国IT大手テンセント(Tencent)は10月29日、気候変動対策技術の育成を目的とする支援プログラム「CarbonX 2.0」の最終候補50チームを発表した。応募総数は世界54カ国・地域から660件を超え、選ばれたファイナリストは計12カ国・地域にわたる。
同社は今回、総額2億人民元(約43億円)の助成金に加え、技術支援やメンター制度、実証実験の機会を提供する。選抜された企業・研究機関は2026年前半に最終審査を受け、各国でのパイロット実証を通じて実社会での効果を検証する予定である。
CarbonXプログラムは、研究開発から商業化の間に存在するいわゆる「死の谷(Valley of Death)」を埋めることを目的に設計された。多くの有望技術が資金・提携・試験環境の不足により市場投入に至らない現状を踏まえ、テンセントは資金供給に加え、実証・評価・市場連携までを一体化したエコシステムを形成している。
テンセント上級副社長デービス・リン氏は「気候危機は我々の時代を定義する課題だ。CarbonXでは革新的なアイデアに投資するだけでなく、それを現実社会で機能させる道筋をつくる。CO2の貯留・変換・削減を大規模に実現する技術を加速させ、真の低炭素社会の基盤を築く」と述べた。
今回のCarbonX 2.0は、中国国内中心だった初期プログラムを拡大し、世界規模での展開に踏み切った。対象となる4つの主要分野は以下の通りである。
今回の発表は、中国・深圳で開催された「CarbonXサミット2025」で行われた。会場には産業界・学術界・政策関係者が集まり、気候イノベーションを加速させるための資金循環(カタリティック・ファイナンス)や官民連携の重要性が強調された。
テンセント気候イノベーション部門責任者ハオ・シュー氏は「持続可能性は革新によってしか達成できない。世界の気候起業家を支援することで、人類共通の課題に取り組み、次世代へ共有価値を生み出す」と述べた。
CarbonX 2.0は、炭素除去(CDR)やCCUSを軸にしたグローバルな実証ネットワークを通じ、2030年代に商業化を目指す気候テクノロジーの育成エコシステムとして注目されている。