スウェーデンのグリーンスチール新興製鉄企業ステグラ(Stegra)は6月24日、ウォレンバーグ・インベストメンツ(Wallenberg Investments)主導のコンソーシアムが率いる14億ユーロ(約2,580億円)の資金調達ラウンドを完了したと発表した。規制当局の承認を含む諸条件をクリアし、4月に原則合意していた調達が確定した。レンダーグループからは100%の承認を取得し、2024年の調達分として設定された未実行の融資枠にもアクセスできる。
コンソーシアムは既存投資家のIMASとテマセク(Temasek)に加え、新規のBoleroとSEB-Stiftelsenで構成される。既存株主の多くも追加出資に応じ、アルトル(Altor)が第2位株主となる。
本件で資金構成上の転換を示すのが、第二順位レンダーのエクイティ出資への転換である。AIP Management主導の第二順位レンダー陣が直接の株主側に回ったことで、ステグラは自己資本比率を引き上げ、より強固な財務基盤を確保したとしている。
スウェーデン国家債務庁とSEKは既存の合意枠を維持し、調達プロセスを通じて関与を継続した。スウェーデン国内資本の比率が上昇したことと合わせ、今回の調達はウォレンバーグ家を軸とした国内資本シフトの色彩を帯びる。継続出資する既存株主には、年金基金のAP2やスカニア(Scania)、シェフラー(Schaeffler)に加え、日本の神戸製鋼も名を連ねる。
もっとも、本件を欧州グリーンスチールの順調な前進と読むのは早い。高コストとグリーン水素のスケールの壁により、欧州では計画段階の案件が相次いで縮小・凍結されてきた。業界の受け止めとして、今回の調達はこうした逆風下での一社の事業継続確保という側面が強いとの見方もある。
ステグラはボーデン(Boden)の建設活動を増強しているが、プロジェクトのタイムラインは見直し中とした。新たな取締役会では、ノースボルト(Northvolt)の共同創業者でもあったハラルド・ミックス(Harald Mix)が退任し、ウォレンバーグ系のレイフ・ヨハンソン(Leif Johansson)が会長に就いた。
今回の調達で目を引くのは金額よりも資金の出し手の構成である。ウォレンバーグ家を軸とした国内資本へのシフト、公的金融機関の継続的な関与、そして第二順位レンダーのエクイティ転換。これらは、水素還元製鉄という初期段階の産業脱炭素プラントが、純粋な民間資本だけではバンカビリティを確立しにくい段階にあることを映している。
産業脱炭素ファイナンスにおいて、公的・準公的資本がリスクの最終的な引き受け手となる構図は、ステグラに固有のものではない。脱炭素プラントの資金調達が政策的後ろ盾を前提とする限り、その持続可能性は技術の成否と同じだけ、公的支援の継続性に左右される。