ドイツのエネルギー大手エーオン(E.ON)は、スウェーデン・ノーショーピング(Norrköping)のバイオマス発電および廃棄物発電施設を対象に、炭素回収・貯留(CCS)導入の実現可能性調査を、ノルウェーのカプソル・テクノロジーズ(Capsol Technologies)に委託した。調査は年間最大50万トンのCO2を回収する設備の設置可能性を評価するもので、エーオンが進める北欧地域の脱炭素戦略の一環に位置づけられる。
カプソルは競争入札を通じて本調査を受注し、戦略的エンジニアリングパートナーと共同で実施する。
カプソルが採用するのは、ホットポタシウムカーボネート(HPC)系ソルベントを用いた回収方式である。同社によれば、この方式は廃熱回収機能を組み込んだ独立ユニットとして構成され、従来のアミン系回収技術と比較してトン当たりの回収コストを抑制できるという。
さらに、地域熱供給網に接続された施設では、回収プロセスに伴う副次的な収益機会が生じる可能性があるとしている。バイオマス・廃棄物発電施設は熱電併給の構造を持つため、回収設備の熱統合が事業性を左右する要素となる。
ただし、現時点で本件は実現可能性調査の段階にとどまる。カプソルは本調査を「標準的な契約規模」に分類しており、最終投資決定(FID)や設備導入が確約された段階ではない。
回収対象の評価においては、廃棄物発電施設特有の論点も残る。一般廃棄物にはバイオマス由来と化石燃料由来の炭素が混在するため、回収したCO2のうち除去系として計上できるのはバイオ起源分に限られる。バイオマス専焼設備であればBECCSとして除去系カーボンクレジットの創出余地があるが、廃棄物発電部分の扱いは回収量全体の環境価値評価を複雑にする。
一方で、バイオマス・廃棄物発電へのCCS適用は、排出削減と炭素除去の双方を同時に実現しうる点で北欧の発電事業者から関心を集めており、回収技術の有力な適用先と見なされている。
本件は、北欧で進むバイオマス・廃棄物発電へのCCS適用拡大の流れに連なる一事例として位置づけられる。
評価の軸となるのは、回収技術のコスト構造である。カプソルが訴求するアミン系比でのコスト優位と廃熱回収による熱統合は、いずれも事業性(バンカビリティ)を高める要素だが、その実効性は実現可能性調査を経て初めて検証される。供給側の自己申告にとどまる現段階では、コスト優位は確定した前提ではなく、検証対象の仮説として扱うのが妥当である。
段階的にみれば、本件はFIDに至らない初期評価であり、契約規模も標準的とされる。回収対象に廃棄物発電が含まれる以上、化石起源炭素の混在をどう切り分け、除去系としての環境価値をどう確定するかが、後続フェーズで実装と計上の双方を左右する論点となる。