環境省は国土交通省と連携し、海外の交通プロジェクトへのJCM適用可能性を検討する有識者検討会を立ち上げる。第1回会合を6月26日に開催する。
正式名称は「令和8年度第1回 TODプロジェクトにおけるJCMを考慮した温室効果ガス削減効果に関する検討会」。TODは公共交通指向型都市開発を指す。座長は福士謙介・東京大学未来ビジョン研究センター長が務める。委員には交通・都市工学の研究者とJCM実施機構(JCMA)の実務担当者が名を連ね、会合には環境省地球環境局長と国土交通省国際統括官が出席する。
検討会の主眼は、海外のTOD事業から生じる温室効果ガス削減効果を、JCMの枠組みでどう算定するかにある。
これまでJCMが扱ってきた再エネや省エネといった個別技術型の案件と異なり、TODは都市構造そのものに働きかける複合的な事業である。削減効果は、自動車から公共交通へのモーダルシフトや交通行動の変化を通じて発現する。こうしたシステム全体に及ぶ削減を、どう定量化し、ベースラインを設定し、方法論に落とし込むかが論点となる。
一方で、交通・都市開発分野の削減効果は、要因の切り分けやリーケージの評価が難しく、信頼性の高い算定には方法論上の課題が残るとの指摘もある。
本件は、JCMの適用対象を個別技術型の案件から都市交通インフラへと広げる試みとして位置づけられる。
国土交通省が所管する領域は、陸上モビリティ、航空、海運、建設・建材と、カーボンクレジットの方法論が活発に動く分野と幅広く重なる。TODはその一例に過ぎず、交通インフラという裾野の広い領域とカーボンクレジットの親和性は高い。JCMの方法論開拓を実装にどう結びつけるかが、この取り組みの実質的な価値を決める。