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菌根菌由来の土壌CDR、ベラVM0042で米国初発行 Groundwork BioAgが1.9万トン

2026.06.29 読了 約4分
菌根菌由来の土壌CDR、ベラVM0042で米国初発行 Groundwork BioAgが1.9万トン
出典:イメージ

イスラエルのグラウンドワーク・バイオアグ(Groundwork BioAg)は6月25日、菌根菌を活用した土壌CDRプログラム「ルーテラ・カーボン」で初の検証済みカーボンクレジットを発行したと発表した。発行量はネットで19,568トン。SCSグローバル(SCS Global)がベラのVCS下で第三者検証を実施し、複数の購入契約がすでに締結されている。

同社はこれを、米国においてベラのVM0042方法論に基づく初のカーボンクレジット発行と位置づける。パイプライン開発から実供給への移行を示す節目となる。

VM0042米国初発行という手続き的到達点

VM0042は農地管理を対象とする土壌炭素の算定方法論である。今回の発行は、菌根菌による土壌CDRを米国の第三者レジストリ枠組みのもとで商業規模に乗せた初の事例にあたる。

ベラCEOのマンディ・ランバロス(Mandy Rambharos)は、VM0042が農地管理に科学的根拠に基づく厳格な算定をもたらすために設計されたとし、70万エーカーを超えるプログラム規模での今回の発行が、方法論が実地で機能していることを示すと述べた。

登録農地は2023年の約9,000エーカーから現在70万エーカー超へ拡大した。対象は米中西部とカナダのプレーリーに広がる。当面の対象市場として、南北アメリカの削減耕起農地4億5,000万エーカーを見込む。

100%除去・自然由来という品質ポジショニング

ルーテラ・カーボンは回避系を含まない100%除去系のプログラムであると同社は説明する。菌根菌が鉱物結合有機物(MAOM)の形成を促し、この炭素プールは耕作方法に関わらず数世紀から数千年にわたり安定すると主張する。隔離量は年1.5〜3.5トン/エーカーで、カバークロップや不耕起など再生農業の公表ベンチマークの約5倍とする。

農家は販売収益の最大70%を受け取る。土壌の管理者である農家への還元を前面に出したグロワー中心モデルを掲げる。

パーマネンスとMRVをめぐる評価軸

土壌炭素を除去系CDRの品質要件に照らしてどう評価するかは、依然として論点が残る。同社はMAOMの長期安定性を永続性の根拠とするが、土壌炭素は耕作や気候条件の変化により再放出されうる可逆性を抱え、測定・検証の不確実性も指摘されてきた。

一方で、VM0042のような登録簿方法論のもとでの第三者検証は、こうした不確実性に算定上の規律を与える枠組みとして機能する。今回の発行は、その規律が実地の農地で成立したことを示す一例といえる。

CEOのアロン・ウェルバー(Alon Werber)は、世界のCDR市場が昨年供給した2MtCO2eを引き合いに、その半分を2年で供給すると述べた。ただしこの2MtCO2eは耐久性の高いCDRの供給実績を指すとみられ、自然由来を含むCDR全体の規模とは異なる。土壌CDRを同じ土俵で比較する前提には留保が要る。

編集部の視点

今回の発行は、菌根菌由来の土壌CDRをベラVM0042の枠組みに乗せた最初の事例として位置づけられる。技術的な飛躍というより、既存の土壌炭素・再生農業の系譜に連なる取り組みが、米国で方法論上の手続きを通過した到達点と見るのが妥当だろう。

評価の焦点は、100%除去・自然由来という品質ポジショニングが、土壌炭素のパーマネンスとMRVをめぐる既存の懸念にどこまで応えられるかにある。低コストかつ高永続性という訴求が除去系カーボンクレジットの品質基準のなかでどう受け止められるかが、今後の市場での評価を左右する。

参考:https://www.prnewswire.com/news-releases/groundwork-bioag-issues-first-verified-carbon-credits-under-rootella-carbon-program-302810838.html

関連タグ CDR Verra
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。