ボランタリーカーボンクレジットの認証機関ベラ(Verra)は2026年4月20日、植林(ARR)に関する新方法論「VM0047」に基づくカーボンクレジットを、世界で初めて発行承認したと発表した。
対象となったのは、ブラジル中部のサバンナ生態系セラード(Cerrado)における大規模な森林再生プロジェクト「Brazil Cerrado 1」(ベラ登録番号5511)であり、230,120トンのベリファイド・カーボン・ユニット(VCU)の発行が認められた。VM0047は、ICVCMのコアカーボン原則(CCPs)評価フレームワークの下で適合認定を受けた方法論であり、現状でカーボンクレジットの品質と誠実性に関する世界最高水準の基準である。
今回の承認は、CCPラベル付き方法論が理論整備の段階から実プロジェクトでの運用段階へと移行したことを示す象徴的な一歩と位置付けられる。
「Brazil Cerrado 1」は、ブラジルのマットグロッソ・ド・スル州、マットグロッソ州、ミナスジェライス州にまたがる大規模なARRプロジェクトである。ベラのベリファイド・カーボン・スタンダード(VCS)と、コミュニティ・気候・生物多様性スタンダード(CCBS)の双方に登録されている。
事業の対象地は、過放牧と繰り返しの伐採サイクルにより劣化した牛の放牧地である。
ここに在来生態系の再生と、森林管理協議会(FSC)認証を取得した持続可能な森林管理を組み合わせて実施する。最初の20年間のクレジット期間において、約700万トンのCO2換算量(年間約351,328トン)の除去が見込まれており、最大25,000ヘクタールの森林被覆の回復、雇用・研修・生計支援を通じた地域コミュニティへの便益、そしてセラード生物群系における生物多様性保全の強化が期待される。
セラードは南米第2位の面積を持つ熱帯サバンナで、生物多様性の宝庫である一方、農地転換による劣化が深刻であり、世界で最も脅威にさらされた生態系の一つに数えられる。
VM0047は、ARRカーボンクレジットの誠実性向上を目的に設計された新世代の方法論である。動的パフォーマンスベンチマークによるベースライン設定、リーケージ評価の厳格化、永続性リスクの体系的管理など、自然由来カーボンクレジットへの市場の批判に応える形で構築された。
VM0006やVM0009といった旧来のARR方法論はベースラインの過大設定や追加性の評価手法に対する批判を受けてきたが、VM0047はICVCMによるCCPs適合認定を経て、ARR分野における事実上の業界標準としての地位を確立しつつあった。
今回の世界初の発行承認は、その方法論が実装フェーズに入ったことを示すマイルストーンである。
ベラの最高経営責任者(CEO)であるマンディ・ランバロス(Mandy Rambharos)氏は次のように述べた。「植林・再植林・植生回復は、世界の気候目標達成に不可欠である。VM0047下での今回の初承認は、ベラの方法論が、現実的で測定可能、かつ持続的なインパクトをもたらすプロジェクトを可能にすることを示している。セラードは世界で最も重要であり、最も脅威にさらされている生態系の一つだ。本プロジェクトは、誠実性の高い炭素金融が気候・生物多様性・地域コミュニティに実利をもたらしつつ、こうした景観をスケールで回復させる手段となり得ることを示している」
プロジェクトの開発主体であるBTGパクチュアル・ティンバーランド・インベストメント・グループ(BTG Pactual Timberland Investment Group)のシニア・ポートフォリオ・マネージャー、トム・ホッジマン(Tom Hodgman)氏は、「『Brazil Cerrado 1』は、ベラのVM0047方法論の下でVCSプログラムにおいて初めて検証・認証され、かつCCBSプログラムでも認証された画期的な事業である。今回の登録は、顧客の気候・生物多様性・財務目標を支える高品質・高誠実性のカーボンクレジット創出という、当社の戦略的な焦点を裏付けるものだ」とコメントした。
なお、本プロジェクトの妥当性確認・検証機関(VVB)は、スペインの認証機関アエノール(Aenor)が務めた。
VM0047下での世界初発行は、品質危機に揺れたボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)、特に自然由来カーボンクレジット領域における信頼回復の重要な転換点である。ICVCMのCCPラベルとVM0047が「実装」段階に入ったことで、SBTiのネットゼロ基準において残余排出の中和に求められる除去系カーボンクレジットの供給見通しに、ようやく現実味が出始めた。
なお、開発主体のBTGパクチュアルは、ブラジル最大級の投資銀行であるBTGパクチュアル傘下のサステナブル林業投資部門であり、機関投資家マネーを背景にした大型ARRプロジェクトの先行事例としても注目される。
参考:https://verra.org/verra-approves-first-credits-under-vm0047-arr-methodology/#:~:text=WASHINGTON%20%E2%80%93%20Apr.,VCUs)%20under%20VM0047%2C%20v1.