プロアース(Puro.earth)は、EUの炭素除去・カーボンファーミング規則(CRCF)に準拠した適格カーボンクレジットを認証する新プログラム「CRCF Program」を立ち上げ、認証スキームとしての承認を欧州委員会(European Commission)に申請した。承認されれば、除去系CDRの供給者がCRCF認証ユニット(CRCF Certified Units)を発行し、購入者が同社の既存インフラを通じて調達できるようになる。
単一基盤で三つのプログラムを並行運用
今回の申請は、プロアースが単一プログラムの認証機関からマルチプログラムの標準・レジストリへ移行する動きの一環である。
承認後は、グローバルに展開するPuro Standard、EUに特化したCRCF Program、そしてCCS+ Programの三つを、同一プラットフォーム上で並行運用する構成となる。Puro StandardはCO2除去証書(CORC)を発行して従来どおりの世界的な適用範囲を維持し、CRCF ProgramはCRCF規則の対象範囲に沿ってEU域内に焦点を絞る。
プロアースのヤン=ウィレム・ボーデ(Jan-Willem Bode)社長は、CDRの普及が進む欧州では、供給者と購入者が複数のプラットフォームや関係を抱えることなくプログラムや法域をまたいで活動できる柔軟性を必要としており、マルチプログラム化はその選択肢を実務的な形で提供するものだと説明した。
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承認済み方法論は技術由来除去の三類型
CRCF Programが当面対象とするのは、CRCF委任規則の下で現在承認されている三つの方法論である。具体的には、バイオ起源CO2の回収・貯留(bioCCS)、直接空気回収・貯留(DACCS)、バイオ炭による炭素除去であり、いずれも技術由来の除去手法に位置づけられる。
対象となるのは、これら三類型に取り組むEU域内のプロジェクト開発者に加え、欧州に排出を持つ国際企業、そしてコンプライアンスを見据えた調達戦略をとる購入者である。プログラムが承認されれば、これらの供給者がCRCF認証ユニットを発行できる。
規制市場との接続を見据えた制度設計
CRCF規則は、EU域内の炭素除去に共通の品質基準を設け、市場の分断を低減するとともに、CRCFのカーボンクレジットを将来的にEU ETSへ統合する道筋を開くものとされる。
プロアースにとって、この枠組みの下にプログラムを持たない選択肢は実質的に存在しなかった。欧州で事業を行う供給者と購入者にとって、CRCF準拠のカーボンクレジットは、将来の規制要件に備える購入者の需要に応え、拡大するEU域内の需要にアクセスするうえで重要性を増すとみられる。
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承認から発行までに残る手続き
プロアースは申請に先立ち、Puro Standardの一般規則と地中貯留に関する方法論に二点の修正を加えた。建設および体化排出の償却期間と、地中貯留からの再排出が生じた場合に受け入れる補償手段に関する調整である。
6月1日に欧州委員会が認証スキーム向けに開催したガイダンスウェビナーの内容を反映し、申請を提出した。これにより、同社は正式に承認プロセスに入っている。
ただし、スキームが承認された後も、プロジェクトとカーボンクレジットを評価する妥当性確認・検証機関(VVB)が認定を受けるまで、CRCF適格のカーボンクレジットは発行できない。
VVBの認定は、国家認定機関(NAB)、またはEU域外に本拠を置く組織については欧州認定協力機構(EA)が担う。重要なのは、VVBのNAB認定がスキーム承認後にしか始まらない点であり、申請から最初のカーボンクレジット発行までには相応の段階が残る。プロアースはこの作業を前倒しするため、フィンランドでNABの手続きをすでに開始している。
編集部の視点
プロアースのCRCFプログラムは、ボランタリー市場で築いた認証・レジストリ基盤を、規制枠組みへ接続する動きとして位置づけられる。
CO2除去証書を軸とするボランタリー基準が、将来的なEU ETS統合をにらむ規制適格ユニットの発行主体へと役割を広げる構図であり、ボランタリー市場とコンプライアンス市場の境界が制度面で接近しつつあることを示す。
ただし、現時点では既存インフラ上にプログラムを一つ加えるマルチプログラム化の延長でもある。スキーム承認とVVB認定という二段階の手続きを経るまで、CRCF認証ユニットの実発行には至らない。
承認済み方法論が技術由来除去に限られる現状の下で、自然吸収系を含む方法論の拡充と認定プロセスの進捗が、CRCF市場の実需化のペースを左右する。
参考:https://puro.earth/insights/post/getting-ready-for-the-eu-crcf-a-conversation-with-boris-lagadinov-head-of-crcf-program-puro-earth/
