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ノルウェー・パキスタン、パリ協定6条2項に基づく二国間カーボンクレジット協定を締結

2026.04.02 読了 約3分
ノルウェー・パキスタン、パリ協定6条2項に基づく二国間カーボンクレジット協定を締結
出典:イメージ

ノルウェーとパキスタンは2026年4月1日、パリ協定6条2項に基づく二国間協力協定に署名した。同協定は、パキスタン国内における温室効果ガス(GHG)削減プロジェクトを通じて生成されたカーボンクレジットをノルウェーが購入し、自国の2030年気候目標達成に活用することを可能にするものである。

国際移転対応クレジット(ITMO)の移転枠組みを構築

本協定の核心は、国際移転対応クレジット(ITMO)の移転に関する法的枠組みの整備にある。ノルウェーがパキスタン国内の気候プロジェクトに投資し、生成されたカーボンクレジットを取得する一方、パキスタン側は気候ファイナンスへのアクセスとグリーン技術の導入を享受する構造だ。

協定の資金メカニズムは、ノルウェー環境・気候省が主導するノルウェー国際排出削減イニシアティブ(NIGU)が担う。同イニシアティブの実施パートナーには、アジア開発銀行(ADB)、グローバル・グリーン成長機構(GGGI: Global Green Growth Institute)、および世界銀行の3機関が名を連ねており、いずれもパキスタンで既存の事業基盤を持つ。

ノルウェーのアンドレアス・ビェラン・エリクセン(Andreas Bjelland Eriksen)気候・環境大臣は署名に際し、「パキスタンとの協定は、パキスタン国内の排出削減に共同で取り組むと同時に、EUとの気候協力のみでは達成できない場合にノルウェーの2030年目標に貢献しうるものだ。また、パキスタンにおける民間投資の誘発とグリーン雇用の創出にも寄与する」と述べた。

再生可能エネルギー・エネルギー効率・持続可能な開発

本協定のもとで想定されるプロジェクトは、再生可能エネルギー(太陽光発電等)、エネルギー効率改善、および持続可能な開発を主軸とする。パキスタンはすでに太陽光発電や植林(ARR)といった分野でのカーボンプロジェクトに対する政府承認を発行しており、国際カーボンクレジット市場への参入に向けた制度整備を加速させている。

制度的なキャパシティビルディングについては、6条協力準備支援プログラム(SPAR6C: Supporting Preparedness for Article 6 Cooperation)が中心的役割を担い、パキスタンがカーボンクレジット取引の管理・国家気候戦略への統合を進められるよう支援している。

グローバルカーボン市場形成の牽引役

ノルウェーはパリ協定6条に基づく二国間協力協定において国際的な先進国の一つである。今回のパキスタンとの合意に先立ち、ベナン、ヨルダン、セネガル、ザンビアとも類似の協定を締結しており、自国の気候中立目標達成に向けた多国間戦略を体系的に展開している。

パリ協定6条2項は、各国が自国の国が決定する貢献(NDC)達成に向けて自発的に協力できる枠組みを提供する条項であり、二国間または多国間協定によるITMOの移転を認めている。ノルウェー・パキスタン間の本協定は、同枠組みの実装事例として国際カーボンクレジット市場における注目度が高い。

日本は二国間クレジット制度(JCM)を通じてパリ協定6条の枠組みを先行活用してきたが、ノルウェーのNIGUモデルはアジア開発銀行・世界銀行等の多国間機関を実施パートナーに組み込んだ資金動員構造が特徴的であり、日本のJCM拡充戦略にとっても参照価値が高い。

パキスタンは気候脆弱国かつ急成長する再生可能エネルギー市場として、日本企業のScope3排出削減を目的としたカーボンクレジット調達先としても今後の重要性が増すと見られる。

参考:https://www.regjeringen.no/en/whats-new/sign-new-climate-agreement/id3155503/

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。