インドネシア政府は2026年7月初旬、FOLU(森林・その他土地利用)由来カーボンクレジットの初の国際販売を開始する。販売目標量は3,000万トン超の排出削減量にのぼり、供給源は国内で既に実施済みのレガシープロジェクトに由来する。
林業省大臣首席顧問のエド・マヘンドラ(Edo Mahendra)は、林業省規則6/2026の発行をもって同国が「カーボン市場の新たな章」に入ったと述べた。
今回の国際販売は、政府が旧来の登録プラットフォームを統合登録簿SRUK(Carbon Unit Registry System)へ一本化する動きと並行する。SRUKは2026年6月末までに本格稼働することを目標としている。
国際取引は、かねて海外投資家の呼び込みに向けて国際取引機能を拡張してきたIDX Carbonのインフラを通じて執行される。供給国側が登録・取引基盤を一元化したうえで国際売却に踏み切る構図である。
今回の販売拡大は、大統領規則110/2025および2026年に施行された林業省規則6/2026を制度的基盤とする。これらの規則は、電子的かつ透明性の高い事業認証手続きの簡素化を図るものである。
ダブルカウントの防止に向けては、ネスティング(nesting)手法を導入する。あわせて、国際売却がパリ協定の下で更新された同国のNDC目標と整合するよう、政府による監督を担保する設計とする。
エド・マヘンドラは、インドネシアが国際市場基準を満たすことで信頼性を高め、グローバルなカーボン市場で追随者ではなく先行者であり続けるとの方針を示した。
本件は、供給国であるインドネシアが登録簿統合・取引基盤・規制体系を一体で整える市場インフラ整備の到達点として位置づけられる。3,000万トン超という量的目標そのものよりも、SRUKへの一本化と規則110/2025・規則6/2026による制度的裏づけが同時に進んだ点に、供給国市場としての成熟度が表れている。
ただし、制度設計の完成度と運用実績は別の論点である。供給対象が既存のレガシープロジェクト由来である以上、ネスティングによるダブルカウント防止とNDC整合の監督が、登録簿の本格稼働後に実効性を伴って機能するかが、同国の市場信頼性を左右する論点となる。