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Green Carbonと韓国KIH、ベトナムで水田AWDのJCMプロジェクトを開始

2026.06.16 読了 約3分
Green Carbonと韓国KIH、ベトナムで水田AWDのJCMプロジェクトを開始
出典:イメージ

グリーンカーボン(Green Carbon)は、韓国の大手総合金融グループであるコリア・インベストメント・ホールディングス(Korea Investment Holdings、以下KIH)と連携し、ベトナム中部ゲアン省(Nghe An)で水田の間断灌漑(AWD)を用いたメタン削減プロジェクトを開始した。JCM(二国間クレジット制度)を適用し、将来的なJCM方法論化とカーボンクレジット発行を目指す。

同社は、JCMクレジット発行に向けたカーボンクレジット投資プロジェクトとして、日本・ベトナム双方で初の取り組みと位置づけている。

プロジェクトの座組

グリーンカーボンは2024年8月にベトナム支社を設立し、メコンデルタ地域を含む15省と覚書(MOU)を締結してAWDの展開を進めてきた。ゲアン省のプロジェクトでは、AWD技術による水田由来メタンの排出削減に取り組み、AWD方法論、MRV体制、データ管理基盤の整備を並行して進める。

KIHは韓国のK-ETS(韓国排出権取引制度)における最大手の取引業者であり、本件では投資および事業化支援、サステナブルファイナンス領域での知見提供を担う。将来的なファンド組成も視野に、カーボンクレジットの創出者・需要家・金融機関の連携強化を進めている。

JCMの農業分野拡大と国家目標

JCMをめぐっては、日本政府が官民連携で2030年度までに累積1億トン、2040年度までに累積2億トンの排出削減・吸収量の確保を目標に掲げている。これまで再生可能エネルギーや省エネルギー分野が案件の中心だったが、農業や泥炭地管理などの非エネルギー分野への拡大が政策上の重点に位置づけられている。

一部の試算では、現行ペースでのJCMクレジット発行を前提とした場合、2030年までの累積排出削減・吸収量は5,700万トン程度にとどまる見込みであり、1億トン目標との差である約4,300万トンは追加的な民間JCMで確保することが期待されている。

AWDは、その民間JCMの有力な手法として東南アジアで案件形成が進む。フィリピンでは2025年2月に日本・フィリピン両国政府のJCM合同委員会でAWD方法論が承認され、グリーンカーボンが組成した投資プロジェクトは既に完売している。

ベトナムの農業脱炭素政策

ベトナム政府は農業分野の温室効果ガス削減を国家重点政策に位置づけ、2025年から2035年にかけて「低排出型作物生産プログラム」を推進している。コメを中心に、AWDによるメタン削減、MRV体制整備、低排出認証制度の構築が進む。

2026年5月の日越首脳会談では低炭素成長分野での協力強化が確認され、農業・灌漑分野での連携拡大が示された。今回の連携は、こうしたベトナムの低炭素農業政策と日越間のJCM協力を背景とするものである。

編集部の視点

本件は、フィリピンで先行したAWD方法論のベトナムへの横展開であり、農業分野における民間JCMの裾野拡大を示す事例として位置づけられる。

注目すべきは、その政策的な含意である。日本のJCMは累積1億トン目標に対して現行ペースで約4,300万トンの不足が見込まれており、この差を埋める鍵は、再生可能エネルギー・省エネルギーに偏ってきた案件構成を非エネルギー分野へ広げられるかにある。水田メタンを対象とする農業案件は、その不足分を埋める供給源の一つとなりうる。

ただし本件は方法論承認前の段階にあり、カーボンクレジットの創出はあくまで将来的な見通しにとどまる。国家目標への実際の寄与は、ベトナムでのAWD方法論承認とMRV体制の確立を経て評価可能な論点となるだろう。

参考:https://green-carbon.co.jp/japanvietnam_kihgroup_awdproject/

関連タグ AWD JCM アジア
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。