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中国、第15次五カ年計画で炭素強度17%削減を表明 パリ協定目標には届かず、排出量増加の懸念も

2026.03.08 更新 2026.03.09 読了 約4分
中国、第15次五カ年計画で炭素強度17%削減を表明 パリ協定目標には届かず、排出量増加の懸念も
出典:イメージ

中国は全国人民代表大会(全人代)の開幕に合わせ、2026年から2030年を対象とする第15次五カ年計画の気候関連目標を公表した。計画の柱はGDP単位あたりの温室効果ガス(GHG)排出量を示す「炭素強度」を17%削減することであり、排出総量に上限を設ける絶対値目標は今回も設定されなかった。

パリ協定目標との乖離

中国が今回掲げた炭素強度17%削減は、パリ協定に基づく自国が公約した「2005年比65%削減(2005〜2030年)」の達成には程遠いと複数のアナリストが指摘する。

ヘルシンキに拠点を置くクリーン・エア・アンド・エナジー研究センター(Centre for Research on Energy and Clean Air、CREA)の共同創設者、ラウリ・ミリビルタ(Lauri Myllyvirta)氏は今回の目標を「危機感を欠いた極めて緩い水準」と評し、中国の経済成長率見通しを踏まえると、今後5年間で排出量が3〜6%増加する可能性があると警告した。CREAの試算によれば、パリ協定のコミットメントを満たすには、この5年間で少なくとも23%の炭素強度削減が必要とされる。

前回の五カ年計画(2021〜2025年)では18%削減を掲げながら、実績は12%にとどまり、目標未達に終わっている。今回の新目標について国家発展改革委員会(NDRC)は、2026年単年では約3.8%の削減を見込むとしている。

「デュアルコントロール」から炭素強度管理へ制度転換

今回の計画における最大の制度変更は、エネルギー消費量を直接管理する「エネルギー強度管理」から、GHG排出量に着目した「炭素強度管理」への移行である。いわゆる「双控(デュアルコントロール)」制度の刷新により、業種・企業・プロジェクト単位での炭素排出規制が導入される見込みだ。

また、今後5年間で再生可能エネルギーによる石炭代替量を年間3,000万トンとする目標が示された一方、石炭消費量そのものに上限は設けられなかった。再生可能エネルギーの消費最低割合(最低消費枠)の導入と老朽石炭火力の段階的廃止も盛り込まれており、従来の「段階的な石炭削減」から「石炭消費ピークの達成」へと表現が改められた点も注目される。

習近平国家主席は2024年9月の国連演説で、風力・太陽光の発電容量を2020年比で2035年までに6倍にする方針を表明しており、現在の普及ペースはその目標を上回る軌道にある。

国際的リーダーシップへの期待と現実

米国が昨年パリ協定から離脱して以降、中国が気候変動対策における国際的なリーダーシップを担うことへの期待が高まっている。しかし、今回の慎重な目標設定は、他国が野心的な排出削減目標を設定する動機付けとなりにくいとの見方が広がっている。

独メルカトル中国研究所(Mercator Institute for China Studies)のニス・グルンベルク(Nis Grunberg)主任アナリストは「中国は歴史的排出量において急速に最大排出国になりつつあり、先進国に大幅な削減責任を求める立場の説得力は薄れている。中国自身もそれを認識している」と述べた。

一方、グリーンピース東アジア(Greenpeace East Asia)の北京拠点政策顧問、ヤオ・ジェ(Yao Zhe)氏は、製造業の旺盛なエネルギー需要を踏まえると新目標の達成も容易ではないと指摘。エネルギーシンクタンク、エンバー(Ember)のシニアエネルギーアナリスト、ムイ・ヤン(Muyi Yang)氏も「焦点は難易度の高い課題、すなわち脱炭素化が難しいハードトゥアベート分野の対応、大規模再エネ統合、柔軟で強靭な電力系統の構築へとシフトしている」と述べた。

なお、2025年の中国の温室効果ガス排出量は輸送・電力・セメント・金属各セクターの削減により前年比0.3%減少したが、2030年のピーク前に再び増加に転じるかは依然不透明な状況だ。

中国が排出総量の絶対値目標を避け続けることは、GX-ETSの設計や日本企業のScope3算定において「中国サプライチェーンのGHG排出リスク」の不確実性が高止まりすることを意味する。カーボンリーケージへの懸念がくすぶる中、CBAM(炭素国境調整メカニズム)対応を含む日本の製造業にとって、中国の排出量動向と炭素強度管理の実効性を継続的にモニタリングすることは喫緊の経営課題となろう。

また、中国が国内に炭素強度規制を強化するほど、コンプライアンス向けカーボンクレジット市場の需給にも波及しうる点を見落とすべきではない。

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。