カリフォルニア州キャップアンドトレード制度(California Cap-and-Trade Program)とケベック州排出量取引制度(ETS)による2026年第2四半期(Q2)合同オークションが2026年5月20日に実施される。
炭素市場専門メディアのクォンタム・コモディティ・インテリジェンス(Quantum Commodity Intelligence)が報じた。
今回の供給量は合計約5,610万枠(排出許可証)で、前四半期比約530万枚(約9%)の減少となる。供給内訳は以下のとおりだ。
2026年の最低入札価格(アニュアル・オークション・リザーブ・プライス)はカリフォルニア州が1トンあたり27.94ドル(約4,460円)、ケベック州が1トンあたり26.47カナダドルに設定されている。
2026年第1四半期オークション(2月18日実施)では、カレントオークションの全供給枠が価格下限(リザーブ・プライス)に張り付いた状態で落札されたことが確認されている。アドバンスオークションも同価格帯で決着したが、全量は売り切れなかった。この結果は、現時点での市場需要が限定的であることを示す一方、買い手が先行取得の機会を価格下限付近で慎重に選別していることを示唆している。
市場参加者の行動パターンにも変化が生じている。コンプライアンス対象事業者(Compliance Entities)規制上の義務を持つ排出主体は、2027年に予定されるキャップ(排出上限)の段階的引き締めを前に、オークションでの取得シェアを着実に増やしている。2024年5月のオークション結果(参照資料)では、カレントオークション取得分の86.25%をコンプライアンス対象事業者が占めており、義務的需要の厚みが確認できる。
一方、機関投資家(マネーマネジャー)はカリフォルニア・カーボン・アローワンス(CCA)市場におけるネットロングポジションを数週連続で小幅に削減しており、短期的な価格上昇期待が後退していることを反映している。
今回のオークションが注目を集めるもう一つの理由は、タイミングにある。5月20日のオークション終了からわずか1週間後に、カーボ(CARB:カリフォルニア州大気資源委員会)が排出量取引制度の規則改正案に関するパブリックヒアリングを開催する予定であるためだ。改正内容にはコスト抑制メカニズムの見直しや将来の供給設計変更が含まれる可能性があり、オークション後の価格形成に直接影響を与えうる。
市場参加者は今回のオークション結果を、次の規制サイクルを占う先行指標として注視している。
日本市場にとって、カリフォルニア・ケベック合同オークションの動向は対岸の出来事ではない。カリフォルニア州に事業拠点を持つ日系製造業・電力関連企業は直接的な規制対象となりうるほか、CCA価格はグローバルなコンプライアンス炭素市場の価格シグナルとして機能する。
2027年のキャップ強化を前に供給量が絞られる一方、Q1の価格下限張り付きが続くようであれば、日本が推進するGX-ETSの設計議論、特に価格下限・上限の設定や市場安定化メカニズムに対しても重要な比較事例を提供することになる。
参考:https://ww2.arb.ca.gov/sites/default/files/2024-03/nc-may_2024_notice.pdf
参考:https://ww2.arb.ca.gov/sites/default/files/2024-05/nc-may_2024_summary_results_report.pdf