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アルバルク東京、2024-25シーズンのGHG排出量を公表 カーボンオフセットにカーボンクレジット活用へ

2026.03.26 読了 約4分
アルバルク東京、2024-25シーズンのGHG排出量を公表 カーボンオフセットにカーボンクレジット活用へ
出典:アルバルク東京

Bリーグ所属のプロバスケットボールクラブ、アルバルク東京は2026年3月19日、2024-25シーズン(2024年9月〜2025年5月)における温室効果ガス(GHG)排出量の算定結果を公表した

算定は、同クラブのALVARK Willサポーターであるイーダッシュ(e-dash)株式会社との協働のもと実施。スポーツ業界では実例が少ないとされるこの取り組みは、2022-23シーズンから継続しており、今回で3シーズン目を迎えた。

総排出量は2,276トン、前シーズン比で微増

今シーズンの総排出量は2,276.4トン-CO2eとなり、前シーズン(2023-24シーズン)の2,203.9トン-CO2eから+72.5トン(約3.3%増)となった。

算定範囲は、ホームゲームおよびアウェイゲーム(選手・スタッフの移動・宿泊のみ)、ならびに事務所での業務活動(2024年7月〜2025年6月)を対象とし、活動の上流から下流までのScope1・Scope2・Scope3排出量を包括的に捕捉している。

移動が全体の83%超を占め、最大の排出源に

排出量の内訳を見ると、増減の構造は単純ではない。

来場者・関係者の移動に伴う排出量は前シーズン比で+364.0トン増加し、全体排出量の約83.2%を占める最大の排出源となった。都道府県別の来場者データ分析から、遠方からの来場による長距離移動の影響が大きいと同クラブは説明している。

一方、削減が確認された項目もある。グッズ制作・備品に伴う排出量▲280.2トン減少し、ホームゲームにおけるScope1・Scope2(ガス・電力使用)排出量も▲31.6トン減少した。エネルギー管理やグッズ調達の見直しが一定の成果を上げていることが読み取れる。

カーボンクレジットを活用したカーボンオフセットを実施予定

削減努力を行ったうえで残存するGHG排出量については、信頼できる認証基準を満たしたカーボンクレジットを活用したカーボンオフセットを実施する方針をすでに表明している。現在、イーダッシュのアドバイスのもと適切なカーボンクレジットの選定プロセスを進めており、実施後に改めて公表するとしている。

同クラブは認証基準の充足を選定の前提としており、カーボンクレジットの品質・信頼性に対する意識が窺われる。どの認証スキーム(ベラ(Verra)/VCS、ゴールドスタンダード(Gold Standard)等)に基づくカーボンクレジットが採用されるかは現時点では未公表であり、今後の開示が注目される。

新アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」がGHG削減の本命に

今回の算定対象期間は、2025年秋に開業した新アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」の稼働前にあたる。同アリーナは、国際的な環境性能認証であるLEEDにおいて国内アリーナ初のGOLD認証を取得し、国内のZEB Ready認証でも最高評価を獲得している。また、親会社であるトヨタ自動車が推進する水素・モビリティ技術等のクリーンエネルギー技術の実証拠点としての役割も担う。

2025-26シーズンの算定では、こうした省エネ・低炭素施設の稼働効果が排出量に反映される見込みであり、今後のScope1・Scope2排出量の大幅削減が期待される

スポーツ業界における継続的なGHG算定・開示の先例として

今回の取り組みは、社会的責任プロジェクト「ALVARK Will」の活動方針のもと、SDGsの目標13(気候変動に具体的な対策を)および目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)への貢献と位置づけられている。イーダッシュによる算定結果報告書も公表されており、測定・報告・検証(MRV)の透明性確保への取り組みも確認できる。

プロスポーツクラブがScope1〜3を包括した形でGHG算定を3シーズン継続して公開することは、国内においてなお稀であり、スポーツ業界全体への波及効果が期待される。

アルバルク東京の事例が示す本質的な論点は、スポーツ興行においてScope3(来場者移動)が排出量の8割超を占めるという構造的課題だ。この課題は、削減努力だけでは解消困難であり、高品質なカーボンクレジットを活用したカーボンオフセットの戦略的活用が不可避となる。

J-クレジット制度やボランタリーカーボンクレジット市場において需要側の裾野がスポーツ・エンターテインメント分野へ広がりつつあることは、国内カーボンクレジット市場の多様化という観点からも注目に値する。

GX-ETSの本格稼働を控え、排出量算定・開示の義務化が拡大する局面において、企業がスポンサーシップを通じてスポーツクラブの脱炭素取り組みを支援するモデルが、新たなカーボンクレジット需要の創出経路になり得る。

参考:https://www.alvark-tokyo.jp/news/detail/alvarkwill/partner/id=21306

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。