中国の国有穀物大手COFCOインターナショナル(COFCO International)は、オルタナティブ資産運用大手パトリア・インベストメンツ(Patria Investments)が運用するファンドとの間で、ブラジルにおける持続可能な農業バリューチェーンと除去系カーボンクレジットの開発機会を共同評価するMoUを締結したと発表した。
本件は両社による探索段階の合意であり、具体的なプロジェクト組成や投資額には踏み込んでいない。
MoUのもと、両社はコーヒーをはじめ大豆、トウモロコシ、その他油糧種子を対象に、持続可能な農業バリューチェーンと除去系カーボンクレジットの開発機会を評価する。カーボンクレジットはパトリアが運用するリフォレスト・ファンド(Reforest Fund)を通じて創出し、認証基準に整合した高品質な除去系カーボンクレジットの生成を視野に入れる。
再生農業の導入、劣化・未利用地の修復、低炭素物流インフラへの投資も合意の柱に含まれる。輪作などを通じた土壌の自然回復に加え、農家の能力構築や生計向上の支援も想定されている。
COFCOの世界的なトレーディング網と国際市場へのアクセスに、パトリアの資本と案件組成力を組み合わせる構図である。
リフォレスト・ファンドは、ブラジルにおいて生態系の回復と生産的な土地利用を両立させる自然資本プロジェクトに投資する。収益源は除去系カーボンクレジットと持続可能なコモディティに分散させる設計であり、本件もこの枠組みの延長線上に位置づけられる。
中国とブラジルの農業連携は近年深化しており、業界分析によれば、両国間の気候協力は貿易関係の拡大と一体で進んでいるとされる。本件はその文脈に連なる動きである。
評価の焦点は、創出される除去系カーボンクレジットの永続性にある。
土壌炭素は耕作管理や土地利用の変化によって蓄積が逆転しうるため、地中貯留型の除去とは性質の異なるリバーサルリスクを抱える。コモディティ収益とカーボンクレジット収益を組み合わせるモデルは自然資本案件のバンカビリティを高めるが、カーボンクレジットの価値はMRVの厳格性と蓄積の持続性に左右される。
本件は探索段階のMoUにとどまり、土壌炭素由来の除去系カーボンクレジットが認証基準上の品質要件を満たせるかは、方法論の適用と検証体制の設計に左右される論点である。