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New Forestsが初のグローバル自然資本戦略「GLO」を立ち上げ

2026.06.16 読了 約4分
New Forestsが初のグローバル自然資本戦略「GLO」を立ち上げ
出典:イメージ

運用資産102億ドル(約1兆6,300億円)を抱えるオーストラリア・シドニー拠点の自然資本運用会社ニューフォレスト(New Forests)が2026年6月15日、初のグローバル自然資本戦略「Global Landscape Opportunities(GLO)」を立ち上げたと発表した。ルクセンブルクに設定し、森林・農地に加えてカーボンおよび生物多様性を投資対象に含む、機関投資家限定の統合ポートフォリオである。

投資戦略と資産配分

GLOは、持続可能な林業資産、農地・食料生産システム、カーボンおよび気候関連投資、生物多様性・生態系市場という幅広い自然資本資産を投資対象とする。同社が約20年間にわたり地域別市場で積み上げてきた運用を、単一のグローバル統合ポートフォリオに集約する位置づけだ。

出資目標は7億5,000万ドル(約1,200億円、10億6,000万豪ドル)とされる。

資産配分は地域別に設定される。米国・カナダ・欧州・英国・オーストラリア・ニュージーランドの先進国市場にポートフォリオの60〜80%、ブラジル・ウルグアイ・チリを含む先進的な中南米市場に最大30%、東南アジア・その他中南米地域・アフリカに最大20%を振り向ける方針である。

対象は年金基金、保険会社、ファミリーオフィス、エンダウメント、財団などの機関投資家に限定される。

グローバル投資責任者のデイビッド・シェルトン(David Shelton)は、多くの投資家がこれまで地域別の配分を通じて自然資本にアクセスしてきたが、すべての機関がグローバルポートフォリオを自ら構築・運用する規模や専門性を備えているわけではないと指摘した。GLOは地域・セクター・市場を横断して能動的に資本を配分する仕組みだと説明している。

カーボン・生物多様性市場の位置づけ

ニューフォレストはGLOにおいて、カーボンおよび生物多様性を森林・農地に対する「補完市場(complementary markets)」と位置づけている。中核を成すのは林業資産と農地であり、カーボン・生物多様性関連の投資はこれを補完する構成だ。

最高経営責任者のマーク・ロジャース(Mark Rogers)は、自然資本がインフレ耐性、分散効果、長期の実質リターンをもたらす資産として資本市場で認知されつつあると述べ、気候安定や生物多様性、持続可能な土地利用といった環境成果と投資リターンの両立を強調した。

編集部の視点

GLOは、ニューフォレストが地域別に運用してきた自然資本戦略をグローバルに統合した、標準的な機関投資家向け商品の延長線上に位置づけられる。

注目すべきは、資産配分の重心と、カーボンクレジットの価値が生まれる地理との間にある構造的なずれである。ポートフォリオの60〜80%が先進国に振り向けられる一方、ボランタリーカーボンクレジット市場で需要の中心にある除去・回避系カーボンクレジットの供給は、REDD+やARRに代表される熱帯・途上国地域に偏在する。本戦略における「カーボン」エクスポージャーは、先進国の植林・IFM・土壌炭素を中心とする性格を帯びる可能性が高く、発行量の大きい途上国由来のNbSカーボンクレジットとは別系統の収益構造となる。

ただし、この保守的な地域配分は機関投資家向け商品設計の核そのものであり、低相関・インフレヘッジ・安定した法域という訴求を優先した結果でもある。カーボンを「補完市場」と明示している以上、本戦略をNbSカーボンクレジットの供給地理で評価することは主眼とずれる面もある。配分の妥当性は、林業・農地リターンと環境クレジット収益のいずれを投資家が主軸に据えるかによって左右される論点となる。

関連記事:植林カーボンクレジットに300億円投資 30年までに3倍拡大するオーストラリアのカーボンクレジット市場に狙い

参考:https://newforests.com/insight/new-forests-launches-first-global-natural-capital-strategy/

関連タグ 森林 豪州
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。