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環境NGO連合、EUの生物起源除去方法論に内部審査請求

2026.06.16 読了 約3分
環境NGO連合、EUの生物起源除去方法論に内部審査請求
出典:イメージ

カーボン・マーケット・ウォッチ(Carbon Market Watch)やWWF EUを含む環境NGO連合が、EUの炭素除去・カーボンファーミング規則(CRCF)の委任法令に定められたBio-CCS(生物起源炭素回収・貯留)およびバイオ炭の認証方法論について、欧州委員会に内部審査請求を提出した。連合は、これらの方法論がCRCF規則の求める大気からの永続的なCO2除去を満たさず、目的不適合であると主張している。

請求はオーフス規則に基づく行政行為の審査手続きであり、欧州委員会は最大22週間以内に、受理または拒否の理由を付して回答する義務を負う。拒否された場合、連合はEU一般裁判所に当該決定の取消訴訟を提起できる。

審査請求が示す根拠

連合が挙げる根拠の中核は、樹木由来バイオマスを燃焼して炭素を地中に貯留する行為を、大気からの除去として計上する点にある。これは大気ではなく森林からの炭素移転にすぎないというのが連合の指摘である。

このほか審査請求は、Bio-CCSの定量化範囲が回収プロセス稼働のための追加バイオマス由来排出に限定されている点、一定条件下で貯留されるバイオマスのメタン排出が算定から除外されている点、間接的土地利用変化(ILUC)が認証方法論に算入されていない点、バイオ炭活動のモニタリング規則が欠如している点、バイオマス収穫・利用の持続可能性要件が遵守されていない点を、いずれもCRCF規則違反として列挙している。

連合は、これらの方法論がCDR枠組みの整合性を損ない、CO2を除去するどころか排出を増加させうる活動を助長することで、より信頼性の高い除去への投資を遠ざけると警告する。

一方で、CRCF規則自体は、グリーンウォッシングを防ぎつつ高品質な炭素除去への自発的資金供給を促すべく、厳格で科学的根拠に基づく基準を設けることを目的として制定された制度である。本件で問われているのは、その目的を委任法令が具体化できているかという点に絞られる。

EU ETSへのオフセット転用という争点

審査請求が提出されたのは、欧州委員会がこれらの除去を活用してEU ETSの化石燃料由来排出をオフセットする是非を検討している局面である。連合は、永続性に疑義のある生物起源除去がコンプライアンス市場の排出計上に組み込まれれば、自発的認証の段階にとどまらない整合性リスクが生じると見ている。

編集部の視点

本件の焦点は、NGOによる異議申立てそのものよりも、永続性と大気除去性に争いのある生物起源除去を、EU ETSにおける化石排出のオフセットとして代替可能な単位として扱えるかという境界条件にある。

森林からの炭素移転を大気除去として計上する方法論がそのままETSのオフセットに接続されれば、整合性リスクは自発的な認証層からコンプライアンス市場の排出計上へと移転する。本件は、除去系カーボンクレジットの品質を単体で問う問題というより、除去系単位がコンプライアンス義務をどの条件下で代替しうるかという、ETSへの除去統合の設計を左右する論点として位置づけられる。

参考:https://www.wwf.eu/?21072891/Environmental-NGOs-challenge-the-Commission-on-EU-carbon-removal-methodologies

関連タグ 欧州
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。