オーシャン・ビジョンズ(Ocean Visions)は2026年6月9日、海藻由来製品の脱炭素活用に向けた優先課題を整理したデジタルロードマップ「Seaweed-Based Products for Decarbonization」を公開した。農業利用、バイオ素材、重要鉱物、食品・飼料、バイオ燃料の5領域を対象に、石油由来原料を海藻バイオマスで代替する道筋と、その実現条件を体系化したものである。
本ロードマップが扱うのは、海藻を mCDR やブルーカーボンクレジットの源泉とする路線ではなく、石油由来原料の置換による排出回避である。カーボンクレジット/CDR市場とは独立した文脈で評価する必要がある。
海藻は淡水・土地・肥料といった投入を多く必要とせず短期間で成長するため、これらの投入に起因して排出が大きくなりがちな従来製品の代替素材になりうる、というのが基本的な着想である。ロードマップはこの着想を5領域に分解し、それぞれで石油由来原料を置き換える際の前提条件を示している。
ただし海藻養殖はすでに食用・ハイドロコロイド向けで巨大産業を形成しており、脱炭素用途であるバイオ燃料やバイオスティミュラントへ展開するには、養殖・収穫・加工の各工程で技術刷新と大幅な生産拡張が前提となる、と整理している。
オーシャン・ビジョンズは、科学的成熟度、工学・生産上の課題、資金・市場の障壁、環境・社会面の配慮、政策・ガバナンスの必要条件を横断的に整理している。ロードマップは継続更新型で、2026年5〜6月のパブリックコメントを経て随時改訂される位置づけだ。
同団体は「不足しているのはアイデアではなく、制約の集合体だ」とし、技術的な可能性そのものより、商業化を阻む隘路の所在に課題の重心を置いている。
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本件は海藻由来製品の脱炭素ポテンシャルを否定するものではないが、現時点では優先課題を可視化した構想・整理の段階にある。5領域それぞれで商業化の前提条件が示された点に意味はあるものの、ロードマップ自体が削減効果を生むわけではない。
鍵は、海藻バイオマスの栽培・収穫・加工を量産規模で成立させる技術と、その投資を引き出す市場・資金の双方にある。既存の食用・ハイドロコロイド市場に最適化された供給網を、低マージンになりやすい脱炭素用途へ転換できるかが、5領域の実装可否を左右する。