TOWING、バイオ炭「宙炭」の海外供給体制を米国とタイに構築

カーボンクレジット.jp 編集部

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名古屋大学発のグリーンテックスタートアップである株式会社TOWINGは2026年6月2日、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の海外展開に向け、米国とタイに現地法人を設立したと発表した。日本に加えて米国・タイの3拠点で「宙炭」の供給インフラを確立し、グローバルでの炭素固定と土壌再生を本格化させる。

「宙炭」は、未利用バイオマスの炭化物に独自の土壌微生物群を培養したTOWING独自のバイオ炭である。今回の現地法人設立により、同社のバイオ炭事業は国内実証の段階から海外での製造・供給へと踏み出す。

タイに製造拠点、原料調達から製造までの一貫体制

タイ法人「SIAM TOWING Co., Ltd.」は2026年5月7日に設立され、Saraburi県に「宙炭」の製造拠点を置いた。前年10月にタイのセメント最大手であるエスシージー・セメント(SCG Cement)と締結した連携協定を背景に、原料調達から製造までの一貫したサプライチェーンを構築したとしている。

タイでは野焼きによるPM2.5が深刻な社会問題となっており、政府主導で農業残渣の利活用が進む。バイオ炭はこの課題への対応策として注目され、バイオ炭由来のカーボンクレジットの創出は、農家の新たな副収入源として期待されている。

TOWINGは2024年11月のカセサート大学(Kasetsart University)とのMOUに基づき、2025年から同大学の圃場で工業作物の実証栽培を開始した。タイ国内の複数の圃場で輸出用の果菜類や商業作物への効果を検証し、東南アジアの気候下での有効性を確認している。これらの実証は経済産業省(METI)の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」にも採択された。

同社は今後、商業生産とカーボン価値創出スキームの整備を進める方針である。

米国市場への参入

米国法人「TOWING North America, Inc.」は2026年1月16日に設立された。米国はカーボンクレジット等の環境市場の先進地であり、TOWINGは2023年末から北米市場の調査を進め、2024年にカリフォルニア州に研究ラボを開設している。兼松の米国関係会社であるケイジー・アグリ・プロダクツ(KG Agri Products)が保有するオハイオ州の圃場で「宙炭」の導入試験に着手し、2025年には米国の大手食品加工会社との実証を開始した。

編集部の視点

日本企業が海外でカーボンクレジットの創出プロジェクトを手がけ、それを日本企業が調達する循環が生まれれば、カーボンクレジットの純輸入国となりつつある日本の構造的課題への対応策となりうる。

本件は、日本発のCDR技術を現地の社会課題解決と結びつけながら輸出する試みであり、日本発バイオ炭CDRのグローバル展開における構造的な前進と位置づけられる。タイの野焼き・PM2.5対策や農家の副収入創出という現地ニーズに、「宙炭」の炭素固定と土壌再生が直接応える設計となっている点が、単なる製品輸出と一線を画す。

日本発CDRの炭素価値を日本企業が調達してエコシステムを形成しうるか。本件は、日本のカーボンクレジット調達戦略とCDR産業の海外展開の双方にとって、先行事例として位置づけられる。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000081010.html