インターコンチネンタル取引所(ICE)は、CORSIA航空脱炭素スキームの先物・オプション契約の流動性を高める「ICE CORSIA Liquidity Provider Programme 2026」を立ち上げた。実施期間は2026年6月1日から2027年5月31日までである。
2027年からCORSIAのPhase 2がICAO加盟国に義務化されるのを前に、取引が低調だった航空炭素市場の価格形成を後押しする狙いがある。
対象となるのは、CORSIA適格排出ユニットのPhase 1(2024-2026)およびPhase 2(2027-2029)に係る先物・オプションの計4契約である。
選定されたマーケットメーカーやトレーダーには、取引所手数料の削減や清算手数料のリベートといった金銭的便益が与えられる。その対価として参加者は、買いと売り双方の価格を継続的に提示し、最大売買スプレッドを一定以下に維持し、最低取引量を執行する義務を負う。
現行の2024-2026年フェーズへの参加は任意だが、Phase 2は2027年からICAO加盟国にとって義務となる。義務化を見据え、航空会社のコンプライアンスデスクやプロジェクト開発者は先渡しヘッジ戦略を拡大しつつある。
ICEは、マーケットメイクを補助することで、こうした参加者が依拠できる堅牢で透明な価格ベンチマークの確立を図る。
これまでCORSIA炭素市場は、CORSIA適格排出ユニットの供給が強く制約されていたことと、大手航空会社の購買姿勢が慎重だったことから、薄商いが続いてきた。
今回の流動性供給策は、マーケットメイクの活性化を通じて取引の厚みを増すことを意図している。
今回のプログラムは、2027年のPhase 2義務化を前に、CORSIA市場の取引インフラ整備が本格化したことを示す。
義務化を見据えて先渡しヘッジの需要が拡大する局面で、取引所が継続的な価格提示を促すことは、これまで欠けていた価格ベンチマークの形成を後押しする。航空会社のコンプライアンスデスクやプロジェクト開発者にとって、価格の透明性は調達・供給計画の前提となる。
ただし、これは取引所主導の流動性供給策であり、実需そのものを生み出すものではない。マーケットメイクへの補助が薄商いを一時的に和らげても、実際の取引量が伴うかは別問題である。
市場の厚みを最終的に左右するのは、CORSIA適格排出ユニットの供給制約が緩和され、義務化に伴う実需が顕在化するかである。流動性供給は価格形成の器を整えるが、その器を満たすのは供給と需要の実体である。