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ファイナイト・カーボン、ACR最新手法IFM v2.1でメイン州21万エーカーの森林からCCP認定自然由来カーボンクレジットを発行

2026.04.05 更新 2026.04.06 読了 約5分
ファイナイト・カーボン、ACR最新手法IFM v2.1でメイン州21万エーカーの森林からCCP認定自然由来カーボンクレジットを発行
出典:Finite Carbon(撮影:Chris Gauthier / Lightchaser Productions)

米国のフォレスト・カーボンプロジェクト開発大手、ファイナイト・カーボン(Finite Carbon)は2026年4月2日、メイン州に広がるノースイースト・キャリー・ウッドランズ・プロジェクト(Northeast Carry Woodlands Project)において、アメリカン・カーボン・レジストリー(American Carbon Registry、以下ACR)が策定した改善型森林管理(Improved Forest Management、以下IFM)v2.1の最新手法に基づき、自然由来カーボンクレジットの登録と発行を完了したと発表した。

プロジェクト面積は212,806エーカー(約86,100ヘクタール)に及び、ACRの新手法IFM v2.1のもとで登録された事例としては最初期かつ最大規模のひとつとなる。

ACR最新手法IFM v2.1が意味する「動的ベースライン」への転換

今回の発行が特に注目される背景には、ACRが刷新したIFM v2.1手法の内容がある。旧来の静的なベースライン設定に対し、v2.1ではダイナミック・ベースライン(動的基準線)を採用している。これは、地域の林業慣行や経済状況の変化を定期的に反映して基準値を更新する仕組みで、カーボンクレジット市場における長年の課題であったベースラインの過大計上リスクを低減し、プロジェクトの透明性と説明責任を抜本的に強化するものだ。

ボランタリーカーボンクレジット市場における方法論の信頼性向上は、特に自然由来の解決策(Nature-based Solutions、NbS)系プロジェクトが直面してきた品質懸念への直接的な対応でもある。

CCPsラベルの全クレジットへの付与

本プロジェクトで発行されたすべての自然由来カーボンクレジットには、ICVCMが高品質カーボンクレジットの基準として制定したコアカーボン原則(Core Carbon Principles、CCPs)のラベルが付与されている。追加性永続性・ダブルカウント防止といった誠実性要件を満たすことを第三者が認証したCCPラベルは、現在ボランタリーカーボンクレジット市場において最高水準の品質証明として機能しており、企業バイヤーのカーボンクレジット調達判断に直接影響を与える指標となっている。

ファイナイト・カーボンのプレジデントであるデイビッド・スティーブンソン(David Stevenson)は「このプロジェクトは、測定可能な気候インパクトと健全な森林管理を両立させる我々のコミットメントを体現している」と述べた。

プロジェクトの規模と森林の多様性

ノースイースト・キャリー・ウッドランズは、メイン州北部に広がるバック家(Buck Family)所有の100万エーカー超(約40万ヘクタール)の森林地帯の一部をなす。米国東部最大級の民有林地帯のひとつであり、北部硬葉樹・針葉樹の混交林に加え、ムースヘッド湖(Moosehead Lake)、ペノブスコット川(Penobscot River)、アラガッシュ・ウィルダネス・ウォーターウェイ(Allagash Wilderness Waterway)といった水系を内包する生物多様性の豊かな景観が広がる。

同プロジェクトは、独立認証機関であるサステナブル・フォレストリー・イニシアティブ(Sustainable Forestry Initiative、SFI)の認証も取得。さらに、メイン州林業局が定める水質管理のベスト・プラクティス基準を超える水準で、河畔緩衝帯の森林被覆維持・土壌侵食抑制・洪水緩和対策を実施している。

コベネフィットと地域経済への波及効果

本プロジェクトが生み出す価値は炭素固定にとどまらない。メープルシュガー生産、レクリエーション、リース・ライセンス事業を通じた地域経済への貢献、そして水生生物の生息に不可欠な水温維持・堆積物低減による水質改善など、複合的なコベネフィット(Co-benefit)を創出している。バック家の森林資産アドバイザーであるトーマス・コールマン(Thomas Coleman)は「ファイナイト・カーボンとの協働により、次世代に受け継がれるべき森林生態系の復元と、地域の林業・観光経済の持続的発展を同時に実現できる」と語った。

ファイナイト・カーボンは2009年の創業以来、北米全土で60件超のフォレスト・カーボンプロジェクトを開発し、合計400万エーカーをカバー。累計発行オフセット量は1億トン超、森林所有者への総収益は10億ドル超(約1,596億円)に達しており、コンプライアンス・ボランタリー双方のカーボンクレジット市場における実績を持つ。

IFM v2.1における動的ベースラインの採用は、「過去に自然由来カーボンクレジットの信頼性に疑問を呈してきた日本の大手企業バイヤー層にとって、調達再考の契機となりうる」という点で重要だ。

J-クレジット制度との比較においても、第三者認証によるCCPラベルの存在はリスク管理上の説得力を持つ。

GX-ETSの枠組み形成を見据え、ボランタリーカーボンクレジット市場における自然由来プロジェクトの品質基準が急速に収斂しつつある現状を、調達担当者はアップデートしておく必要がある。

参考:https://www.finitecarbon.com/news/northeast-carry-woodlands-ifm-v2-1-carbon-credits-april-2026/

関連タグ ACR CCPs 森林
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。