本文へスキップ
最新ニュース
海外ニュース

世界初の廃プラスチック由来SAFパイロット施設、英クリーン・プラネットが稼働開始 廃プラ問題と航空脱炭素の同時解決を狙う

2026.05.01 読了 約4分
世界初の廃プラスチック由来SAFパイロット施設、英クリーン・プラネットが稼働開始 廃プラ問題と航空脱炭素の同時解決を狙う
出典:Clean Planet Technologies

英国のクリーン・プラネット・テクノロジーズ(Clean Planet Technologies)は2026年4月、リサイクル困難な廃プラスチックを持続可能な航空燃料(SAF)に転換する世界初のパイロット施設を、ケント州サンドウィッチのディスカバリー・パーク(Discovery Park)に開設した。

同施設は「サステナビリティ・イノベーション・センター(Sustainability Innovation Centre)」と命名され、廃プラスチックの新規処理技術を開発する研究拠点として位置付けられる。第一段階としてSAFへの転換実証を行い、将来的には水素やモノマーへの転換も視野に入れる。

クリーン・プラネット・テクノロジーズの最高経営責任者を務めるアンドリュー・オジョ(Andrew Odjo)氏は、「我々のプロセスは廃プラスチックを焼却ではなく加熱と化学反応によって液体化し、特許技術で不純物を除去して商用航空仕様を満たすSAFを生成する」と説明。

同社の独自技術により、ライフサイクル温室効果ガス(GHG)排出量を従来の化石ジェット燃料比で70%以上削減できると主張している。

廃プラスチックと航空セクター、二つの構造課題

英国では年間500万トンの廃プラスチックが発生し、そのうち約80%はレジ袋や食品包装フィルムなどリサイクルが困難な素材で占められる。世界全体では1日あたり60万トンの非リサイクル廃プラスチックが環境中に流出していると同社は推計する。

一方、世界の商業航空機は1日あたり700万から800万バレルのジェット燃料を消費しており、これは世界の石油需要全体の約7-8%に相当する規模である。SAF由来は依然として全体の1%未満にとどまる。

航空セクターは世界のCO2排出の2-3%を占めるが、飛行機雲(コントレイル)や高高度における窒素酸化物排出といった非CO2効果を加味すると、地球温暖化への寄与は約3.5%に達するとされる。

熱分解から水素処理までの統合システム

製造プロセスは5段階で構成される。第一にプラスチックを均一サイズに破砕する「シュレッディング」、次に酸素のない環境で熱触媒反応により合成原油に転換する「熱分解(パイロリシス)」、その後「精製」「蒸留」を経て、最終工程である水素処理(ハイドロプロセシング)で航空燃料規格に適合する超低硫黄燃料に仕上げる。最大規模の熱分解ユニットは1日あたり1トンの廃プラスチック処理能力を持つ。

熱分解、精製、蒸留、水素処理はそれぞれ既に商用規模で稼働している成熟技術であり、同社は商用化に向けたスケールアップに技術的障壁は少ないと位置付けている。

施設はASTM(American Society for Testing and Materials、米国材料試験協会)のSAF認証取得プロセスへの進行を支援する設計となっており、英国運輸省(Department for Transport)が資金提供する英国SAFクリアリングハウス(UK SAF Clearing House)から財政支援も確保している。

英国SAFマンデートと商用化への道筋

英国政府は航空燃料の脱炭素化方針として、ジェット燃料需要に占めるSAFの比率を2025年に2%、2030年に10%、2040年に22%へ段階的に引き上げる規制(SAFマンデート)を導入している。クリーン・プラネット・テクノロジーズの最高執行責任者カテリーナ・ガリファルー(Katerina Garyfalou)氏は、本パイロット施設が他事業者の成長も支援し、英国のSAFマンデート達成に貢献すると述べている。

国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization, ICAO)はSAFを「国際航空セクターの炭素排出削減における最も有望な手段」と位置付ける。クリーン・プラネット・グループ(Clean Planet Group)の最高経営責任者バーティ・スティーブンス(Bertie Stephens)氏は、「廃プラスチックを埋立や焼却から救い、低炭素航空燃料に転換することは、サーキュラー・エコノミーとライフサイクルGHG排出削減の双方に資する」と強調した。

参考:https://www.cleanplanet.com/post/world-s-first-pilot-facility-converts-non-recyclable-waste-plastic-to-aviation-fuel

関連タグ SAF
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。